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第52回:結婚相談所ノッツェ26

文章の内容を要約すると下記の通りである。
「小結さん、明けましておめでとうございます。連休中実家に帰って色々と考えたのですが、2回目に会った時に、1回目と比較して自分の心を開けていないのに気が付きました。少しでも進展が無い以上、今後お会いする事は出来ません。1月8日に約束していたのに済みません。」
(はぁ?赤の他人にそんなに簡単に心を開ける。時間を掛けてお互いに開いていくんでしょう?って言うか、初手から俺に興味無かったか、もっと良さそうな人が見つかったんじゃないの?だったら、そう言えばいいのに・・・。確かに変な人・・・。)
かなり呆れ返ってしまった。
神奈川の彼女は、そんな私を見て不審気な顔をしていたが、私は澄まして、
「映画、どうでした?」
「想像してたのと違いました。」
(俺は想像通りだったよ・・・。)
他愛も無い話をしながらも、どこかお互いに相手に対して、この人は違うという雰囲気がありありと出ていた。
しかし別れ際に、
「次は私の地元の横浜で会いましょう。」
と声を掛けられたので、以外に思いながら、
「ぜひ。」
非常に愛想の良い笑顔で答えた。
2日後、ネットで神奈川の彼女から、断りの連絡が入った。
(まぁ、こんなもんでしょう・・・)
その後、何度かメールのやり取りをする女性は出来るが、メールをするのが面倒という、余りにも真剣味の無い対応のせいか、会うことになった女性はいなかった。
その結果を女の親友、ミヤマとグリーンに伝えると、
「お前は、真剣じゃない!!!それじゃ、無理に決まっているだろう!!!」
と延々と説教をされる。
ちなみに、私とミヤマ・グリーンは中学時代からの親友で、グリーンのみ既婚者。3人で良く食事をして近況を報告するが、この3人が会話を始めると他の人が入って来れない雰囲気があるほど仲が良いと言われている。
私とミヤマ・グリーンの関係は後日として、半年程平穏に過ごしていた。
そこで、ノッツェを退会しようかという事件が発生する。

続く


第51回:結婚相談所ノッツェ25

誰が悪いのであろうか?それは分からない・・・。
彼女はキングコングが見たいと言い始めたのだ。
私は映画好きで、よく映画を見に行くのだが、リメインク版のキングコング・・・。
話の内容も旧作を見た事があり知っていた。そして、感想がつまらなかった・・・。
さらに、20年近く前か・・・、キングコング2なる映画も見てしまった。
感想は最強の大駄作だ。
例えばB級映画で、殺人トマトの逆襲という駄作があるが、あの域までいくと駄作を売りにしていて面白かった。
しかし、キングコングは頑張っているのにつまらない・・・。
なんとか他の映画にしたいと交渉していたが、彼女の理由はこうである・・・。
「私は、ペットショップで働いているから、動物が好き。で、今上映している映画で動物が出ているのがキングコングだから。」
絶望的である・・・。
「それに、キングコングが何であんなに大きくなったのか知りたいの。」
発狂寸前である。
(その理由は、絶対にこの映画に出てこないよ!!!断言する!!!)
だが、心の弱い私は彼女に合わせた。これから2時間続くであろう地獄の時間を如何に過ごすかを考えながら・・・。
結果、大駄作であった。(あくまでも、私的にはだが)
疲れと供に、映画館を後にする。
携帯のメール着信が鳴った。
見てみると、東京の彼女からだった。
そう、東京の彼女の変わり者の真意を知る瞬間である。
正に、泣きっ面に蜂とは良く言ったものである。
幸運は一人で来るが、不幸は友達を連れてやってくる・・・。

続く


第50回:結婚相談所ノッツェ24

料理はランチコースを頼む。ここのランチコースはパエリヤメインで、価格もお手頃である。
残念なのは、店名を覚えていない事と場所が説明し辛いという事だ。
料理を注文後に先制の一撃を入れてしまった。
「おキレイですね・・・。」
「そんな・・・。」
「美人苦手なんですよ・・・。」
どうしていいのか判断に迷ったのであろう、神奈川の彼女は困惑気味である。
それはそうだ。普通は褒め言葉なのに、言ってる内容は否定的なのだから。
この時点で、持病の恋愛下手が一気に炸裂し始める・・・。
お互いに自己紹介を始めて、相互理解を深める。
料理のシェアを彼女が率先してやり始めるので、不思議に思っていると、
「昔、ホテルで働いていてシェアするのが得意なんです。」
「なるほど、確かにキレイな手つきですね。」
やんわりとした笑顔で対応する。
ただ、ここで非常にヤナ予感がした。
私は自分の意見を持っている女性が好きで、男性の尽くす女性は特に何も感じないが、男性に合わせる女性は苦手なのである。
「どういうタイプの女性ですか?男性との接し方として?」
「男性に合わせちゃいます。」
「・・・。私は自分の意見を持っている女性がいいですね。」
また判断に迷っているようだ。
普通男性が喜ぶ(喜ぶのか?)であろう、自分に合わせてくれる女性を0.2秒で否定するのだから・・・。
実際、彼女が相手に合わせるタイプではないかも知れないが、好印象を与えようとして、逆の結果になるのだから・・・。
このやり取りを後日ミヤマに話した所、30分説教をされた。
「小結、やる気あんの?何で否定するんだよ!!!」
延々30分である。
言い訳をすると好みのタイプじゃないのに無理をするのはお互いに時間の無駄かと思ったのですが・・・。世間では違うのか彼女を作ろうと考えているのであれば違うのか・・・。
そして、微妙な感じで話が盛り上がり?この後どうしようか?という話になる。
特に興味もなくなったので、帰ると言う選択肢か映画でもと思っていたら、映画を見ようとなった。
後日振り返ると、この映画選択が決め手だった・・・。

続く


第49回:結婚相談所ノッツェ23

神奈川の彼女は、化粧が上手で(失礼か・・・)真直で見るとかなりキレイな人である。
結果、私は相手の顔をほとんど見る事が出来なくなった。基本的に人と話す時は、相手の目を真っ直ぐに見るタイプの人間で、それが公私ともに意思の強い人間・迫力があるという風に言われている。
しかし、苦手な相手の場合は目を一切合わせられないのである。
なぜ、美人が苦手かというと、
「美人とうまい話は用心して掛かれ、騙されるぞ!!!」
という親の遺言は無いが、嫌いな食べ物の嫌いな理由を聞く、無駄な努力と同じで、苦手なものは苦手である。
私の男の親友デンタは、間違いなくキレイな人が好きで、結婚を何年か前にしたが、過去の知っている限りの彼女も、奥さんも美人である。これは10人中8人は言うであろう。
よって、デンタは私の好みが信じられず、私はデンタの好みが信じられない。美人がいると落ち着かない。
ちなみに、デンタもミヤマと同様で20年来の付き合いだが、私が好きになる子は大体デンタに告白をして、その度にデンタは、
「何で、俺を好きになる子はまともな子がいないんだ!!!」
という嘆きを耳にした。
(悪いね・・・。そのまともな子じゃない子を好きな俺は遠回しな失恋だよ・・・)
などという笑えない状態が学生時代に続いた。
社会人になってから、デンタに君が振った子に俺は惚れていたと伝えると、気まずそうに、
「好みによるからね。でも、俺のせいじゃないしね。」
その通りである。デンタとは、好みも考え方も合わないから親友なのである。お互いに自分に無い点を補い合う関係だ。
ただ、デンタも私の彼女が出来ない理由(私自身の資質によるらしいが)には、手の付けようが無いらしい。
以前、女の子を紹介してもらったが、私は好きだったのに、相手もOKぽかったのに、嫌われる発言をしてオジャン・・・。
成長が見えない、人間である。だから、以前にも恋愛偏差値が低いと自分もミヤマもデンタも思っているのである。
話を戻すことにする。
東京の彼女とは違い、至って一般的な挨拶から、食事の場所決めになり、スペイン料理を彼女が食べた事が無いので、そこに行く事にした。
既に、苦手意識が強く内心どうしようか考えていたが、彼女は比較的こんな私に好意か興味を持ってくれているようだ。
なぜなら、東京の子と違い、積極的に色々な話をし、また聞いてくる。
そんな状態で、スペイン料理の店に到着。
ここから、ミヤマに30分説教された、やってはいけない行動を始めることになる。

続く


第48回:結婚相談所ノッツェ22

その後、東京の彼女とはメールで連絡を取り合い1月8日に会う約束をする。
同時進行で連絡を取っていた、神奈川の女性は相手がサービス業の為、日程が合わずやっとの事で、1月4日に銀座で会う事になった。
東京銀座・・・。
言わずと知れたオトナの街であり、浅草・上野が下町の代表、原宿・渋谷が若者の代表とすれば、銀座は高級感漂う大人の街に違いない。
普段服装を気にしない私でも、銀座に行くときは身なりを整える。
それはまるで、銀座という土地のオーラなのか、場所自体が「半端な気持ちで来るな!!!」という警告を出しているように感じる。
中途半端な格好で行くと、確実に周囲から浮いてしまうのである。何度も銀座には行っているが、常にその意識はある。
しかし、街自体は非常に安心感?があり、どちらかというと下町のセカセカした雰囲気も、新宿の危険な香りもしない。
至って安心が出来る街である。
但し、入る店は注意が必要である。普通のファーストフード店もあるが、表通りも裏通りも高級感漂う店があり、店の選択に誤ると場違いな思いと手痛い出費が待っている。
銀座よりから有楽町側に行くとサラリーマンの街になるので安心だが・・・。
ちなみに私は足で稼いだ結果、リーズナブルで雰囲気が良く、また味もいいイタリアンとスペイン料理の店を知っており、今回もどちらかで食事をする約束となった。
待ち合わせは有楽町マリオンの前。
定刻になると、機械仕掛けのオルゴールや人形が動き出し、ちょっとした観光名所である。但し、あまり立ち止まって見上げると田舎者扱いされるので注意が必要だ。
基本的には映画を見る時の待ち合わせ場所だが、他に銀座で有名な待ち合わせ場所を私は知らなかった。
当日の待ち合わせ時間は13:00。
私は電車で銀座に行き(銀座に車で行くのは都心を走り回ることなので、唯一絶対車で行かないと決めている。駐車場も少ないのだ)、15分前に到着。
待ち合わせ時間に携帯が鳴る。神奈川の彼女からである。
場所は近くにいるのだが、人が多くて誰だか識別が出来ない。
話しながら探すとお互い同時に相手を認識する。
(参った・・・。写真で見た印象より美人だ・・・。)
キレイな人が大の苦手なのである。

続く


第47回:結婚相談所ノッツェ21

時間に5分程遅れて彼女は来た。
まずは映画を見る事にして、サンシャイン近くの映画館でミスター&ミセス・スミスを見る。
比較的内容は単純なアクション映画であり、特に感動は無いがそれなりに彼女は喜んでくれたようだ。
映画を見た後に、映画館傍のイタリアンの店で遅めの昼食。
そこで、他愛も無い映画の感想を話し、ついでに仕事のストレスに関して聞いてみた。
「嫌な上司がいて、派遣社員なのに部署異動させられたんです。」
「派遣で?」
「そう、普通派遣は異動しないんだけど、その上司に嫌われて異動です。新しい仕事を覚えなきゃいけないし、人間関係も作り直しで大変なんです。」
「そうですか・・・。」
ここで私はいいタイミングだと考え、先程買ったネックレスの箱を差し出す。
「これ、つまらない物だけど少しでも元気になってもらえばと思って・・・。」(良し、いい感じで言えた)
「いや、そんな貰う義理がありませんから。」
永遠とも思える、実際は数瞬の間が空いた。
(はぁ、義理が無いってずいぶんな言い方じゃない!!!)
ここで、怒るのも大人気無いし、怒りを押し殺して、
「いや、返されても俺が困るよ。使い道が無いからね。それと、あんまり義理が無いって言われると身も蓋も無くなるから、他の人には言わない方がいいかな。」
多少引きつった笑顔でやさしく諭す。
「ごめんなさい、私そんなつもりじゃなかったんです。悪いなと思って・・・。」
彼女は数瞬考えると、
「ありがとうございます。いただきます。開けていいですか?」
「どうぞ。」
中から、輝くガラス玉が縦に並んでいるネックレスが出てきた。
(こんなの買ったんだ・・・)
「ありがとうございます。こういうの持ってなかったんで嬉しいです。今、付けていいですか?」
「どうぞ。こちらこそ、喜んでもらえて嬉しいです。」
そんな会話でかなり打ち解けて来た気がしていた。
店を出て、別れ際に彼女は言った。
「私、変わり者だから心が通う相手はこの世にいないと思っているんです。」
「まぁ、そんなこと無いと思うよ。」
(本当は激しく、切なく同意したいけどさ、それしたら終わりだしね)
偽善者の笑顔で答えて別れた。
ここから、この変わり者という言葉の真意を思い知らされる事も知らずに・・・。

続く


第46回:結婚相談所ノッツェ20

「ベッキーが好みでしたら、私は違いますので、時間の無駄ですね。」
(はぁ〜・・・。そうですねと言いたいが、頑張ろう!!!)
「いや、雰囲気が結構好きなんですけど、それ以外にももの静かな人も好きですよ。」
「それは、私に近いですね。」
(世の中で、頑張って努力して彼女を作った男性に聞きたい・・・。こんなに苦労するの?)
そもそも、苦労しながら話をあわせている時点で、諦めるという方が正しい選択であると今にして思えば言える。
しかし、初めて相談所で知り合った女性と言う事と、練習といったら失礼か?
本当に気に入った女性の時に失敗しないように頑張る事を決意。
その後、カラオケが終わり、彼女を車で家の近くまで送った。かなり遠慮されたので次回からは車で送るのは止める事にした。
送り終わった後、疲労がどっと出たのを今でも覚えている。
その後、彼女とメールで連絡をとり、再会を12月下旬の日曜日に池袋でする事を約束。
彼女が仕事でストレスが溜まっているという事なので、スッキリするような映画を希望したので、ミスター&ミセス・スミスを見る事にした。
また、当日今度は電車で行ったが、30分程待ち合わせに時間があったので、西口の丸井を訪れた。
1階のアクセサリーショップで、店員の女性に、
「元気が無い、女の子が喜びそうな贈り物で、2万程度のいいのありますか?」
「彼女ですか?」
「微妙なライン・・・。」
「分かりました。」
という事で、店員さんが選んでくれたネックレスを購入。
店員さんは、その商品の良さや保証書、輝きのレベル等を細かく説明してくれたが、説明終了後、
「何一つ覚えてません。」
正直に答えたら、
「男性はそうですよね。」
苦笑いをされた。 (自分で考える必要性を感じないだよね・・・。知識としても)
「上手く行きますよ。」
状況は分かってないのだが、励ましを受ける。
「ありがとう。」
速やかに店を出た。(宝くじを買った際に、店員さんが当たりますようにと言うのと同じくらい、何の影響力も無い・・・)
待ち合わせ場所に5分前に到着。
(喜んでくれるだろうか?この行為は正しいのか?)

続く


第45回:結婚相談所ノッツェ19

世の中は市場の原理で全て動いている。
売り手と買い手・需要と供給・学生と就職口のように・・・。
男女の関係でいうと、よっぽどのイケメンでは無い限り、適齢期の人口の比率から女性が優位である。圧倒的に。
よって、私はほんの数瞬の間を空けたが、律儀に質問をした。
趣味・勤務先・仕事・休日の過ごし方・どういう人間か。つまり、自分が言った内容である。
一通り話を聞いて、食事をしながら雑談。
不意に彼女が質問をしてきた。
「小結さんは、ノッツェで他の女性に会いましたか?」
「いいえ、初めてです。」
「私は2回目です。本当は3回目ですが、2回目は相手が現れなくて、ノッツェに不信感を持って、辞めようかと考えました。」
(知らんがな!!!)
「ですから、小結さんが他の女性と会っても気にしませんから。」
頭が高速で回転する。
(これは、既に俺に興味が無いという事を遠回しに言っているのか?それとも、男っぷりのいい女性なのか?変な人か?)
結論の出ないまま、
「はい。」
我ながら芸の無い回答である。
その後、映画かカラオケか話し合い、カラオケに行く事になった。
2時間程、歌を歌うが、相手はお世辞にも歌唱力というか音程が合って無かった。しかし、
「いやー、お上手ですねぇ〜!!!次はこの曲歌えません?」
というような心にも無いお世辞を連発。
(これは、正しいのか・・・?)
また、唐突に彼女は質問をしてきた。
「小結さんの好みの女性はどんなタイプ?」
また、頭が高速で回転する。
(う〜ん。意思のある子で気立てが良ければいいのだけど、いまいち正解?と違うのかな・・・。この子は顔がベッキーに似てるな・・・)
「芸能人に例えるとベッキーかな」
「じゃ、私は違います。」
(えーっと、不正解ですか?でも、もう疲れました。)

続く


第44回:結婚相談所ノッツェ18

「まずは、食事でもどうですか?」
私は内心の動揺を抑え、勤めて冷静に対応をした。
「いいですね。」
「ご希望は?」
「任せます。」
(えーっと、ですね〜。女性はどうして、こう相手に任せるんだろうか?俺の対応を見て、センスとか点数でも付けとるんかい!!!)
「じゃ、和食系でそこそこオシャレな店があるんでそこにしてみませんか?」
「はい。」
という事で、至って事務的?に行き先が決まり、事前に調べていた店に向かう。途中で世間話を少ししたが、何か違和感を感じ続ける。
店は地下にあり、地下1階のフロアーに中地下1階とでも言おうか、階段で上る席もある。
(あら、本当にオシャレやわ・・・)
「へぇ〜、こんなオシャレな店があるんだ!!!」
「まぁ、たまに利用するんですけどね。」
かる〜い嘘を交えながら席に付く。
注文はなぜか和食系の店なのにパスタランチ(訳分からん???)。
ここで、自己紹介を始める事になった。
「まずは小結さんからお願いします。」
「はい、えーっと年齢が・・・。」
年齢に始まり、趣味・勤務先・仕事・休日の過ごし方・どういう人間か(いいようにしか言わないけどね)、ついでに血液型と星座も伝えた。
「血液型や星座まで!!!」
相手は笑ってしまった。
「いや、以前、A型の長男としか付き合わないという女の子がいたので・・・。女性はそういう情報も好きなのかと思って。」
「私は気にしませんよ。」
「そうですか。」
料理がきたので一時中断。
店員が去ってから、おもむろに彼女は言った。
「私は自己紹介で何を言っていいか分からないので、質問してください。」
(お前は何様だ!!!)

続く


第43回:結婚相談所ノッツェ17

20代前半、東京在住の女性と日曜日に池袋東口で13:00待ち合わせ。
頑張って、おめかしをして・・・といってもヒゲを剃って、寝癖を直して、まぁまぁオシャレ?な服に着替えて10:30に出陣!!!
基本的に帰りは車で送ろうと考え、車で池袋に行った。
(電車嫌いなんだよね・・・。後、車だと好きな音楽聴けるし、暖かいし・・・)
駐車料金よりも面倒臭さを優先するので、友人と池袋に遊びに行く時も車で行くので、同様の行動を行った。
運良く駐車場が空いていた。
(12:00に池袋で・・・時間が余った。さて・・・)
ここが頑張りどころとばかりに、東口近辺の食事場所を確認。
普段は夜来るのだが、ランチの時間帯でやっている店で美味しそうでオシャレな店を探し、相手が和・洋・中・イタリアンという風に何を選択しても万全の体制を整える。
そして、その後は映画を見る場合は何があるか?カラオケボックスの位置は?ビリヤード場は?という相互の位置関係まで確認。
(頑張ってるよね・・・。多分・・・)
時間が迫って来たので、東口に移動する。
東口の分かりやすい場所で、壁に寄り掛かり待つ。
(12:45だから、15分位待つのかな?)
相手の顔はある程度覚えているが、挨拶をして何を話そうかという事を頭の中でシミュレーション。
あらゆる状況を想定して、さて準備万全と思ったのが13:00丁度。
(さて、どっちから来るかなぁ〜?)
期待と緊張が極限に近づいてきた・・・。
「それじゃ、行きましょうか。」
突然、声が聞こえ一人の女性が私に先行して歩き出した。
「えっ!?は、初めまして・・・。」
「初めまして。どこに行きます?」
嵐の予感がした。
(普通は挨拶して、軽い自己紹介からじゃないのかな?俺がおかしいのか?)

続く


第42回:結婚相談所ノッツェ16

メールをする事になった女性は供に20代後半で、埼玉と東京在住。しかも同時期にスタートとなった。
基本的に私は、仕事や友人と話すのが得意で、人前での会議やプレゼン等は社内でもそこそこの評価をしてもらっている。
そして、仕事としての文章作成能力もそこそこ評価がされている。
メールもPCから行うのは問題無い。
しかし、この二人は携帯からのメールでやり取りする事になった。
私は携帯メールの親指入力がどうしても苦手で、知人からの長いメールの返信を了解・無理でしか回答をしなく怒られる事も度々ある人間だった。
(えーっと、面倒臭いのですが・・・)
されど、せっかく機会を頂いたので、頑張ってメールを送りました。1日1回以上・・・。
この時点で、気付いたのだが、私という人間は恋愛が苦手なのである。致命的なまでに・・・。
恋愛に偏差値があるのであれば25くらいしか評価されないだろうし、基本的には中学時代の恋愛能力からその後向上が見られず、大体相手から、
「マメじゃない!!!」
「ムード作りが下手!!!」
「付き合いだしたら、話が異常に下手になったのはなぜ?」
「恋の駆け引きって分かる?」
果ては、
「信頼出来ない!!!」
という人格否定までされて来た。
ここで奮起一点頑張ろうとしたのだが、相手の情報も良く分からないので、趣味とか仕事とか聞いて、こちらも答えてを繰り返しているうちに、飽きました。
ギブアップです。
二人とも途中で返事も無くなり、こちらもメールせず終了。
(無理ジャン!!!俺の人格の問題か?)
人間は頑張ろうとすればするほど、空回りをするものである。
自分自身状況を把握したので、メールでのやりとりは極力少なくして、駄目もとで直ぐに会う事を提案する事に決めた。
翌月、今度は20代後半東京在住。30代前半神奈川在住の女性とメールをする事になった。
ともに、 「お互いを良く知る為には、一度お会いしませんか?」
と申し出た所、即OK。
人生とは分からないものである。こちらは駄目もとだったのに・・・。
確か、12月だったと思うが東京在住の女性と池袋で会う事になった。
(頑張るぞ!!!何を頑張ればいいか分からないけど・・・)
恋愛偏差値が低いのはどうにもならないのである。

続く


第41回:結婚相談所ノッツェ15

入会したての為か、色々な方に興味を持っていただき、交際申し込みを受けましたが、お断りさせていただきました。
ようは、好みの女性では無かったという理由で・・・。
翌月になり、また好みの女性を検索し、また交際申し込み。
1〜2週間以内に全件断られる。
翌々月も、同様の事を繰り返す。
全件断られるか、返事無しで1ヶ月過ぎる。
ちなみにノッツェでは申し込みがポイント制で1ヶ月10ポイント。つまり10人に申し込める。断られてもポイントは減ったままだが、返事が無く1ヶ月経過するとポイントが戻ってくる・・・。
相手が気を使ってくれて、ポイントを得したのか?ガン無視されたのかは不明だが・・・。
3ヶ月同じ事を繰り返して、やっと気が付いた。
(つまり、なんで結婚相談所に来るの?というような女性は、普段出会えないとても高収入・高学歴・ハンサム・そして社会的地位をもっている人を探しているのか・・・)
私のような平凡を絵で書いたような(まぁ性格というか人格は平凡では実は無いのですが・・・)男じゃ、結婚する気にも、連絡取る気にもならないという事である。
4ヶ月目で気付いたのは救いだが、アホとしか言いようが無い。
1.女性ばかりの職場で
2.出会いが無く
3.色々な人と出会いたい
という自己紹介を書いている人達が多いが、本音はより良い人と付き合いたいのである。普通の男相手なら、特に困ってないのである。
(年収も顔も平凡な私じゃ無理ですな・・・)
冷静さを取り戻し、またこの投資したお金を無駄にしない為に作戦変更をした。
失礼な話だが、20代前半を諦め(当たり前か)20代後半〜30代中頃を中心に、顔も普通で性格がよさそうな人を選ぶようにした。
そして4ヶ月目で初めて、2件のメールOKを貰う。
(ここからが、腕の見せ所・・・)

続く


第40回:結婚相談所ノッツェ14

翌日、早速18:10頃ノッツェから携帯にメールが来た。昨夜申し込んだ人達からの返事が来ているとの事である。
期待に胸を膨らませ、自宅に帰って真っ先にパソコンを開く。
ホームページに入り、申し込み結果の画面を開く。
お断りが3件・・・。 (あの、埼玉の子じゃないように!!!あの子以外なら断られてもいい!!!)
願いが通じたか、埼玉の子以外からの断り連絡であった。
(よかった〜・・・。あの子は本気で一目惚れしたからな。小結本気と書いて、マジと読むっす!!!)
申し込み10件中翌日に3件断られた。この事実を深く考えられるほど賢くなかった・・・。
更に翌日。またノッツェから携帯にメールが・・・。
(今度こそ!!!)
勇んでパソコンを開く。
埼玉の子を含め、2件のお断りが・・・。
(マジで!!!マジで失恋だよー!!!悲しいよー!!!)
30分程度凹んだが、気を取り直す。
(まだ、残っている5人の中なら誰でもいい。メールででも話してくれてもいいじゃないか!!!)
ノッツェでは、交際を申し込まれると、
1.OKする(フルメームと電話番号・メールアドレスが申し込み相手に閲覧可能となる)
2.電話する(下の名前と電話番号が申し込み相手に閲覧可能となる)
3.メールする(下の名前とメールアドレスが申し込み相手に閲覧可能となる)
4.お断り
を選択する事になる。
で、結果、1週間以内で全員に断られた・・・。
(なぜ・・・?なぜ・・・?なぜ・・・?俺の何が気に入らないの?)
自問自答を繰り返すが、答えが見つからなかった。
鈴木さんはネットだから断りやすいと言っていたが、断られやすいという意味を含んでいる事を理解できた。
ちなみに、40代前半の女性から申し込まれたが、謹んでお断りした。
(来月に期待しよう!!!)
馬鹿は中々自分の愚かさに気付かないから、馬鹿なのである・・・

続く


第39回:結婚相談所ノッツェ13

自宅に戻りしばらくはノッツェの事は忘れていた・・・。
いや、口座の残高がかなり減ったので、それが痛いとは考えていたが・・・。
数日後、出身大学から卒業証明書が送られてくる。
(ノッツェが申請したのか・・・)
今更ながら、結婚相談所の変な意味だが本気度を知り若干ビビる。
卒業証明書をノッツェに送付し、確か1週間後くらいに、私のIDとパスワードとHPのアドレスが送られてきた。
火曜日がデーター更新日で、その日から新規ユーザーも使用可能との事である。
火曜を首を長くして待ち、いざ女の子の検索開始となった・・・。
(いやー!!!好みの女の子が多くてタマラナイ!!!)
とても、10人の女の子にしか交際申し込みが出来ないのが残念でしょうが無かった。
特に埼玉在住22歳の弁護士助手の子は、動画で見た笑顔や声で一目ぼれをしてしまった。
(だから、身の程知らずですけど、何か?)
交際申し込みは20文字程度しか書けないので、ノッツェメールで自分の紹介とアピールを大真面目に書いた。
他にも、いいと思える子が多くいて、興奮気味の初日であった。
(ノッツェ最高!!!)
本気で好みの子と付き合えると信じて止まない状態だった。
この時点が、私のアホさ満開絶好調の時であった。
世の中はそんなに甘くない・・・。

続く


第38回:結婚相談所ノッツェ12

既に帰りたい気持ち120%の私は3分程度で考えて、さっきの女性に話しかけた。
「決まりました・・・。」
「えっ!!!早いですねぇ。みなさんアピールは重要なので10分から30分位考えますが。」
「大丈夫です。」(もう、帰らしてくれ!!!)
「じゃ、撮影します。」
先程の受付の前にソファーがあり、そこで写真を3枚位撮る。
「どれがいいですか?」
「これで。」(どうでもいい・・・)
0.2秒で回答したので、相手は多少呆れ気味いなる。
「では、動画を撮影しますので、ハイと私が言った3秒後からメッセージを伝えて下さい。」
「はい・・・。」
「ハイ。」
「初めまして、小結です。わたし」
「ストップ!!!」
「はい?」
「名前は言わないで下さい。済みません、説明不足で・・・。」
「いや・・・。」(勘弁してくれ!!!)
そして、再度撮り直し。顔をしかめたりしてしまったが終了。
「どうします?顔しかめてましたけど、撮りなおします?」
「結構です!!!」(帰らせろ!!!)
「そうですか・・・。」
という事で作業全て完了。帰り際に今までの担当者が全てお見送りしてくれて、
「小結さんなら、すぐ決まりますよ。」
「絶対、好みの女性とめぐり合えます。」
という、根拠の無い励ましを受け流して、逃げるように退散。
(面倒臭い・・・)
感想はこれだけだった・・・。

続く


第37回:結婚相談所ノッツェ11

契約が成立すると、所定の手続きが発生するので、ここで鈴木さんから30代中頃の男性田中(モチロン仮名ですけどね)にチェンジ。鈴木さんの去り際に、
「男性の担当者もいらっしゃられるんですね?」
と何気なく聞くと、鈴木さんは言い訳ではなくノッツェのやり方を、やはり自信満々に語った。
「お客様の対応はほぼ女性スタッフが行いますが、細かい契約やその他の処理は男性の方が向いているので、任せてます。」
(おいおい、ウチの会社じゃ男性がアバウトで、女性の方がきめ細かい処理に向いているけどね・・・)
そう言うと、まるで一件ゲット!!!という満足げな足取りで去っていた。基本的に釣った魚には余り興味が無いらしい。
田中さんは、契約書の内容説明と記入方法。ウェブに載せるプロフィール登録用紙の書き方。大学の卒業証明を取得する書類(これは一番ビックリした!!!学歴が大学以上だと卒業証明が必要らしい。結婚の条件てメンドクサイのね・・・。)
その他にも多少の説明と書類を記入し、生来の面倒くさがり病が発生。
(帰りたいし、面倒臭い。早く終わらないかな・・・)
支払いになり、現金一括でキャッシュカード支払いを選択した。
ここで、システムに仕事柄関わりが多いので、
「絶対に私の目の前でリーダーに1回だけ通してください!!!それ以外は認めません!!!」
(キャッシュカードの複製なんて、アキバで10万円以下で作れて、こういう支払いの時にやられるんだよね)
今までの明らかにだらけていた態度から、突然強硬な姿勢を見せたので、田中さんは非常にビックリした。
「分かりました。どうぞこちらへ・・・。」
ブースを出て、受付の所に行く。そこにリーダーがあった。すると田中さんは、
「ご自身で入力等もやられた方が安心だと思うので、言う手順でやってください。では・・・(略)」
(エーットね。田中さん。俺は不正に複製を作られたくないから、目の前で見せてと言っただけで、何で面倒な売り上げ入力も俺がするの?)
よっぽど言ってやろうと思ったが、いい人に見られたいという欲求の方が勝ったので黙って従った。
(はぁ〜。これで開放される。)
処理が終わると別の女性が近づいてきた。田中さんと少し話をして、私に話しかけてきた。
「これから、ウェブに載せる写真と動画を取りますので、動画で話す内容、つまりアピールを考えてください。」
(え〜っと・・・。今からキャンセルできない?理由は面倒臭いからだけど・・・)

続く


第36回:結婚相談所ノッツェ10

10分程待たされたであろうか、鈴木さんは戻ってきた。
「上司と相談しまして・・・。」
その後、色々な条件提示と金額提示を受ける。詳細は書けませんが・・・。
結果として、自分しては納得?のいく折り合いが見えてきた。
(さて、面倒くさくなったし、この条件でやってみるか・・・。でも、安易にOKを出すのは交渉として如何だろう?)
取り合えず、間を取る為、
「済みません、少し考えたいついでに、トイレに行きたいのですが・・・」
「出て、右手にあります。」
鈴木さんもここが勝負どころと読んだか、素直に私の出方を待つようである。
出口を出て、右手に行きその右手にトイレがあった。
中に入り、何か違和感を感じたが、取り合えず個室へ・・・。(小でも個室で無いと、人が入ってくると緊張するんだよね・・・)
用を済ませて、若干考える。
(さて、この間で更に有利な条件を向こうは出してこないかなぁ)
5分程度で個室を出て驚いた!!!
女性が洗面台で歯を磨いているではないか!!!
相手は私を見ても、変な顔をしたが何も言わない。
(都会は時価が高いからトイレは男女兼用なのか・・・)
私は変な納得をしながら、懸命に平静を装い手を洗ってトイレを出た。
目の前に青い字でトイレと書いてある・・・。
恐る恐る振り返ると、今自分が入った方には赤でトイレと書いてある・・・。
(違和感の正体は、男用に必ずある小専用の便器が無かった事か・・・)
あの時に、会った女性がこのコラムを読んでいたらゴメンナサイ!!!今更ですがお詫びします。
そんなこんなで、顔は冷静で内心は動揺。いい条件を引き出すという考えは3光年位向こうに飛んでしまったまま、先程のブースに戻って、
「契約します。」
基本的に小者である・・・。

続く


第35回:結婚相談所ノッツェ9

「当会は、入会後、2年間ご利用いただけます。ご利用料金としましては、お客様のデータ作成及び登録料・お客様が入会する以前の女性のデータ閲覧料・システム利用料・ノッツェメール(通常のeメール以外でのやり取り)使用料・データ管理料等で約50万円です。」
「タカ!!!」
多少演技がかって、感嘆の声を上げた。(本当にいい商売だな・・・)
「当会では、正確でお客様に有用な情報を提供いたしますので、これくらい掛かります。但し、これだけです。」
「カップル成立料や結婚成約料とかは?」
「一切ございません!!!これだけで、2年間情報が見放題です。また、毎月に10名の女性に交際が申し込めます。」
鈴木さんは自社の誇りと信用度をアピールする為か、自信満々に答えた。
「他の相談所さんと比較しても、それほど高くありませんし、追加の費用も発生しませんので、情報の質と利便性を考えれば当会の方が優れていると自信を持っていえます!!!」
ここがアピールどころとばかりに、鈴木さんは畳み掛ける。そして私はその熱気に比例して冷静に冷めた目で観察を始める。
私は、ここであえて思いっ切り抑揚の無い声で、
「2年間で女性と結ばれなかったら、金はドブに捨てたのと同じということですね。つまり。」
ヒニクのスパイスを撒き散らして、相手の反応を伺った。
「当会はあくまで情報を提供するのであって、結果はお客様次第です。でも、小結さんなら直ぐに理想の女性と結ばれると思いますよ。私の経験では・・・。」
鈴木さんは自信に満ちた笑顔を崩さずに答える。
(ありがとう。根拠の何も無い自信と説得を見せてくれて・・・。さっきまでの興奮と興味が冷めてきたよ・・・)
ここで私には1つの選択肢が芽生えた。取り合えず、他の相談所も見学してみるという案である。
検討に値すると思ったが、またどこかに電車で行って、色々聞いたり聞かれたりするのが面倒くさくなった。
(止めるか・・・。)
私が沈黙を守り、思考を働かせているので、鈴木さんは少し見守っていた。 しかし、彼女としては必要な連絡事項を全て伝えて、勢いで契約成立を目指す選択をした。
「お支払い方法に関してですが・・・。」
「はい?」
「当会では、現金での一括支払いと、クレジットでの分割払いがございます。」
「はぁ。」(まだ、入るって言ってないでしょうが!!!)
ここで、鈴木さんは完全に沈黙を守り、私の考えている事を聞きだそうとしている。しかも、色々な対応マニュアルを思い出しながら・・・。
(必殺技で流れを変えよう!!!)
「非常に興味深いですし、入会したいと思いますが、とても一括で支払うには高過ぎます。」
「クレジットは如何でしょうか?」
「現金で買えないものは、借金をして買うな!貯金をして買え!という親の遺言・・・」
「では、一括でお支払いいただけるなら、上司に相談して金額の検討をさせていただきます。」
言うが早いか、鈴木さんは退席・・・。
(えーっと、私の必殺ギャグが不発に・・・)
意味の分からない後悔の念と供にしばらく待つ事になった。

続く


第34回:結婚相談所ノッツェ8

親友のミヤマから以前教わった事が頭をよぎった。
「小結・・・。知り合いがね、結婚相談所に入会して、結婚したんだ・・・。」
「へーぇ、現実にそういうの利用する人っているんだね。」(結局私も利用することになったのだが・・・)
「始めはあまりお金かからないんだけど、交際が始まったら交際成立料でいくら。結婚が決まったら、結婚成立料で50万円くらいかかるんだって。」
「いい商売だねぇ。」
「しかも、結婚式とかもろもろ、その相談所の系列でやると安くなるとか言って、すごいお金かかるんだって。」
「へーぇ、じゃあさ交際する時点から相手と話し合って、相談所には連絡せずに決めて、結婚するときに退会すればいいんじゃない?」
「うーん、良くは聞いてないけど、契約違反みたいになるらしいよ。」
「いい商売だなぁ〜。」
この会話をノッツェに来る1年位前、ねるとんパーティーに2人で向かう途中で話したのである。尚、この時ミヤマには彼氏がいたが、なぜ二人でねるとんパーティーに行ったかと、その結果は後日記載します。
時は、ノッツェに戻る。
「小結さん。インターネットはご自宅でご使用出来ますか。」
「はい。」
「当会にご入会いただきますと、IDとパスワードを発行しますので、ネット経由で当社のHPにアクセスいただき、今やっていただいたようにお好みの女性をご自宅で好きな時間に検索できます。」
「はぁ。」
「また、ネットですので、相手への申し込みも、気に入らない相手からの申し込みをするのも気兼ねなく出来ます。」
「そうですねぇ。」(ねるとんパーティーの時はそれで酷い目にあったからね・・・)
「もしも宜しければ、本日のように当センターに御出でいただいて、こちらの機械で検索されるのも無料で実行できます。」
「はい。」(そんな、面倒くさいことはしない!!!)
お互いにここで間が空いた。私は直感でこれから何の話が始まるのかを理解した・・・。
「当会の料金に関して、ご説明させていただきます。」
(キター!!!)

続く


第33回:結婚相談所ノッツェ7

鈴木さん(もちろん仮名です・・・。覚えてるわけが無い)は、40代中頃の女性で、出来る人の雰囲気と表情は笑顔で話しかけてきた。
「早速ですが、山田が小結さんの為に探した、とってもお似合いの女性のプロフィールをご覧頂きます。」
言うが早いが、目の前のPCを操作しだし、ノッツェHPにログイン。2人の女性の写真・年齢・趣味・学歴・年収・希望するタイプ・コメントが表示された。
「如何ですか?」
鈴木さんは、勝ち誇っているとも取れる自信満々の表情で聞いてきた。
「はぁ・・・。」(言ってた子と全然違う!!!かわいい系では無いじゃん!!!さぁーて、社会科見学終了で帰りますか・・・。)
私の失望の雰囲気を察してか、鈴木さんは操作方法を説明し、
「しばらく退席しますので、ご自由にいろんな女性を検索してください。小結さんが気に入られる子がいると思いますので。」
そう言い残して、去っていった。これはこれで有難い。あまり他人が見ている所で女性を検索するのは、少し恥ずかしかったので、早速色々と調べてみた。(この対応もマニュアルかな?)
基本的には、まず住んでいる地域(関東・東海等)を指定して、次いで都道府県・入会時期・年齢・身長・学歴・職種・結婚歴・喫煙の有無から好みを指定して検索する。
私は、関東の東京・埼玉・千葉を指定し、年齢を20歳から(身の程知らずなんで・・・)35歳まで、結婚歴無し(えーっと、まぁちょっと離婚した人には抵抗が・・・)で検索。
無情にも、画面に300名以上が該当するので、範囲を狭めるように指示される。
今度は、東京だけで20歳から28歳(ですから、身の程知らずな者なので・・・)、結婚歴無しで検索。
今回は上手く検索が出来て、色々な女性のプロフィールを見ていく。
ノッツェが他の結婚相談所より優れているのは、ネット上で相手の動画も見れるのが他に無いサービスとの事なので、興味深く拝見させていただく。
確かに写真よりも動画の方が、相手の印象が良く分かった。(ええ、顔で判断してましたけど何か?)
次に、埼玉、千葉の順で検索。
(面白い!!!しかも、結婚相談所に何で来るの?というような魅力的な女性で、しかも20代前半もいる・・・。やっぱり職場環境で出会いが無い子がいるのか・・・)
この時点でかなり興味を持ってしまい、相手の戦略にはまっていた。そして、自分自身の馬鹿さ加減がMAXにまで上昇していた。
途中、ドリンクのお代わりまで持ってきてもらい、とても満足な気分になった。
満足感が出たのを測ったかのように、鈴木さん再登場!!!
「如何ですか?小結さん。お好みの女性は?」
「はい。興味深いですね・・・。」
あえて遠回しな表現に留める。なぜなら、これから最大で最重要な話が始まると察したからである。
「では、当会のシステムの説明をさせていただいてよろしいでしょうか?」
「はい。」
ノッツェマジックの始まりが告げられた・・・。

続く


第32回:結婚相談所ノッツェ6

ビルの8階?(記憶に無い)にセンターがあり多少の勇気を必要としたが、中に入る。
「済みません。先程電話した小結ですが・・・。」
受付の女性に話しかけると、流れるような回答が来た。
「畏まりました。こちらにどうぞ。」
そういうと、受付の女性が先導して、パーテーションで区切られた小さなスペースに案内される。
そこには、テーブルにパソコンが1台と、椅子が3つあり、そしてノッツェの広報誌が置いてあった。
「しばらくお待ち下さい。担当の者が参りますので。」
「はい。」
「お飲み物は何か?」
「アイスティーがあれば・・・。」
「畏まりました。」
程なく飲み物が持ってこられ、待ち時間となる。禁煙では無かったので、これ幸いとばかりにタバコに火を点ける。
パソコンの画面には、ノッツェの会員画面が表示されており興味はあったが、無断で触るほど常識知らずでも無かったので、黙って広報誌を読んでいた。
不意に数メートル離れたスペースから大きな声が聞こえた。
「俺はねぇ、普通の子と結婚したいなら、こんなとこ来ないんだよ。素晴らしい女性と会いたいから、」
「分かります、分かります。」
苛立ちを隠しきれず、大きな声を出す男性。そしてなだめる女性担当者・・・。
(あのね。自分の身の程を考えてから、希望は出しなさい。全く・・・。俺は普通の子で充分!!!)
どこまでも、自分の事は棚に上げて冷静だが、基本的にアホな心理状況のままである。
「お待たせしました。」
暫く経つと、30代中頃の女性で、メイクは華やか、顔はそこそこ・・・。結構ポッチャリというと失礼なら、ガタイがいいと言ったらもっと失礼か。山田さん登場。
「今、他のお客様の対応中ですので、変わりに私の上司が対応させていただきます。もう少々お待ちください。」
「はい。」
タバコを結局3本ほど吸った頃に上司登場。
「山田の上司で、本日代わりに担当させていただきます、鈴木です。よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
実戦スタート!!!

続く


第31回:結婚相談所ノッツェ5

東京駅八重洲口。 東京に希望を持って訪れた人達にとっての表玄関と言えよう。昔は上野駅であったと思うが。
広大な駅のスペース。様々な店、お土産もの・・・。何度来ても道に迷ってしまう。
ここは、駅から直結で地下のショッピングモールに繋がっており、食事や買い物も大抵はここで済ませることも出来る。
小さいが、密度の濃い街と言った印象を常に受ける。そこには、色々な所に点在する店を探す楽しみよりも、高度に効率化された一極集中の首都東京の体現者であり、これが大都会の無機質で利便性を極限まで追求した姿であろう。
駅を彷徨いながらも、何とか外に出る。
一気に開けるのは広大なロータリーと客を待つタクシー。そして目を上に上げるとビル群。しかも、大企業の看板が立ち並び、自分が東京の中心にいる事を意識させられる。
平日であれば、もっと混雑しているであろう。しかし、今日は日曜とあって観光客の人達を多く見かける。
(俺もこういうところで勤務してみたかったなぁ・・・)
近代化されたオフィス。日本、いや世界の流れとともに仕事をする。これは、将来は山奥で自給自足の自然に囲まれた生活をしたいという願望と、真逆ではあるが私の希望でもある。
自分の力の限界まで、ここでなら試せそうだという考えが、どうしても頭から離れない。
これは、有名な大学に入って、大企業に就職する事が人生の目標とされた、受験戦争の経験者達の悲しきレールが引かれた人生を歩んできたせいだろうか?
(でも、満員電車で毎日通勤だけは嫌だし、残業とか派閥争いとか面倒だな・・・)
自分の人格的な限界を知っているので、直ぐに現実に戻された。
ノッツェはロータリーの向こうにあるビルにある。時間は13:30。約束の時間まで1時間半ある。
根が真面目なのか、1回場所を確認しに行く。ビルは直ぐに分かったが、企業用なので表玄関が閉まっている。
(はぁ?どうやって入るのかな?電話して・・・は、少し時間を潰してからでよいか)
オフィス街の為、表通りは普段と比較すれば閑散としているのであろう。
大企業のビルを見ても面白くないので、一本裏道に入る。
・・・。
以外な衝撃を受けた。まるで、神田・上野・御徒町近辺の下町的な雰囲気が漂う。
(あれっ!?)
オシャレな表通り・地下ショッピングモールと比較すると、余りにもくたびれた感じの食堂や居酒屋。さびれたパチンコ屋。
なかなか面白い。居心地が良くなった。
(バリバリのビジネスマン達は、休憩時間にくつろぐ為には、以外にこういった感じの店の方がいいのかも知れない・・・)
ぷらぷらと30分程歩くが、パチンコ屋は出なさそうだし、ファミレスも無い・・・。
(飽きてきた。さて、困ったぞ。1時間は長いから、電話して早めにノッツェに入ろう)
電話で連絡をして、約束の前だが問題無い事と、正面の横のドアから入れることを聞き、いざ出陣!!!
(女の子を選べる!!!)
アホである。

続く


第30回:結婚相談所ノッツェ4

「今日の今日は無理です!!!それに、今外出中ですので。」(世間の荒波に負けるもんか!!!)
「それでは、今度の日曜はご都合如何でしょうか?」
「まぁ・・・。」
この担当の山田さんは、良く出来る人なのではないか?
相手に考えさせる時間を与えず、話のペースを掴むので、適当に嘘を付けなかった。
「では、今度の日曜日。15:00頃は如何でしょうか?」
「はぁ・・・。」(完敗ですわ・・・。)
約束を取り付けたので、ここから山田さんはゆっくりとしたテンポに変わり、私の警戒心を和らげようとするように、
「小結さんはどんな女性が好みですか?」
「はい?」
「例えば、芸能人に例えると・・・」
ウマイ!!!完全に話を変えられたので、行くのを止めるとも言い出すのは難しくなったし、この話の展開から質問に答えないという選択肢は最早私には無かった。
しかも、私にまるで女性を選ぶ権利があるかのような、優越感???ともつかない感情、または錯覚を与えた。
(こんな俺に、女性を選ぶ権利があるの???)
今、冷静に考えると完全に相手の思うツボなのであろう。私に興味を再び湧かせた・・・。
(そうだ、彼女を作ろう!!!)
「う〜ん・・・。小西真奈美とか矢口真里とか・・・。キレイな人は駄目です。かわいい系がいいですね。」
「そうですか。他に条件はありますか?」
ますます、錯覚が増幅されていく。
「そうですねぇ、背が小さい人がいいです。」
「逆に絶対駄目なのは?」
「・・・う〜ん。ポッチャリはいいんですけど、デブは駄目です。絶対に。」
「分かりました。御出でいただいた際に私を見て、駄目ですとか言わないで下さい。」
「いや、そんな失礼なことは・・・。」
これが、今回の事で完璧なうまさを発揮した点だろう。軽い冗談で場を和ませて、更に私が恐縮してしまう発言をわざとする。
恐縮した私は、申し訳ないという感情になり、相手の話を否定も拒否もし辛くなる。
今にして思うが、アデランスといいノッツェといい、立派な企業はマニュアルなのかノウハウなのかが完全に構築されていて、かつ教育も行き届いているのである・・・。
感嘆のうめき声がでる・・・。
「では、日曜までに小結さんの希望に合う、ピッタリな女性を2〜3名探しておきますので、楽しみにしておいてください。」
「はい。」
「では失礼します。」
切れた携帯を手にしながら、好みの女性を自分が選べるという夢のようなシチュエーションを考え、興奮に震えていた・・・。
これが、愚か者の出来た瞬間である。

続く


第29回:結婚相談所ノッツェ3

「はぁ・・・。」
この時点で、私の中では結婚相談所の事は頭から完全に無くなっており、この電話をいかにして愛想良く切るかに心を砕いていた。
「メールでご覧頂いて、如何でしたでしょうか?」
非常に屈託の無い、明るい声で話を続ける。声の質から考えると、20代後半から30代前半の女性と思われた。
「何一つ分かりませんけど。むしろ、あれで何かが分かったらエスパーですね。」
愛想良くの予定が、全く逆の愛想も可愛げも無い返答をすることになった。
「ですよね。」
「はぁ?」(えっ!?これは作戦なの・・・)
「小結さん、結婚を本気で考えていられますか?」
先程とは打って変わって、真剣な口調で質問をしてくる。
非常に困った事態である。なぜなら、彼女は欲しいし、結婚も将来的にはしたい。でも、本気で今結婚したいという願望は無い。でも、してもいい。という我ながら煮え切らない感情がそこにはあった。
「まぁ・・・。」
「結婚したくないんですか?」
「いや・・・。」
「じゃあ、結婚を真剣に考えてますか?」
「はぁ・・・。」(面倒くさいことが、始まる予感がしてきた・・・。しかも、鉄板で・・・。)
こちら側の心情を察してか、ここが攻め時と相手はまくし立てて来た。
「それでは、出来ましたら当社のセンターに御出でいただければ、実際の写真とプロフィールをご覧になれます。」
「はぁ・・・。」
「そこで、お好みの女性をまずは探されては如何でしょう?もちろん、無料です。」
「無料?」
「はい、正式に当会員になっていただければ、女性と連絡も取れますが、無料体験なので女性のプロフィールをご覧頂くだけですが。」
「場所はどこですか?」(ほんの少しだけ興味が湧いたかな・・・。まぁ話の種というヤツで・・・。)
「お住まいはどちらですか?」
自分の住所を伝えると、
「それでは、当社東京センターが近いので、東京駅の八重洲口まで御出でいただけませんか?」
「はい?東京駅って遠いですよね?」
「通勤は電車で逆方向ですか?」
「車で通勤です。」(今は休職中だけどね・・・)
「そうですか・・・。でも、ご自宅からは40分位ですよね!!!」
「そうですね。だから遠いと言ったんですけど・・・。」
「えーっと、再確認なんですが、結婚は真剣に考えられてますか?」
「はぁ・・・。」
「じゃ、本日19:00頃は如何でしょう?」
(俺、今世間の荒波に流されてるの・・・?)

続く


第28回:結婚相談所ノッツェ2

雑誌に書いてあった事を記憶の範囲内で可能な限り正確に記す。
「無料相性診断!!!携帯から下記のURLにアクセス。好みのタイプと入力されたあなたの情報から、2名の女性を無料でご紹介します。」
まぁ〜たく、信じていなかったが、取り合えず何か行動をしないと、と考えた私はランチもそこそこに終わらせ、携帯でノッツェのホームページにアクセスした。
有りがちな、個人情報の入力。たしか年収まであった気もしたが・・・?適当に好みのタイプを入力し登録。
あっという間に、返信のメールが着た。これも、記憶の範囲内で可能な限り正確に記す。
「Aさん、27歳、東京都在住。Bさん、29歳、埼玉県在住。」

だけかい!!!

期待はしてなかったが、まぁ世の中こんなモノと考え(実際は顔写真くらいは送ってくれるかと、ほのかな期待を持っていたが・・・)、パチンコを続行。
記憶の中に、ノッツェは完全に消えていた。
その日の16:00頃、突然携帯が鳴り出す。番号は今まで見た事が無い。(???)
不信感があったが、何か仕事上で緊急の問い合わせかとも考え出た。
「・・・。」
私は知らない番号の場合、相手から何か言わないと黙っていることに決めていた・・・。
相手は、普通は名前を名乗るのに、沈黙を私が守っているので、しばらくすると動揺とも不信感とも取れる声で聞いてきた。
「小結さんの携帯ですか?」
「はい・・・。」
「先程は当社の無料相性診断をご利用いただき、ありがとうございます。ノッツェの山田(仮名というより忘れた)です。」
(ウザイ・・・)

続く


第27回:結婚相談所ノッツェ1

※前回のキャバクラに関してですが、店名等が書かれてないのは忘れているからです。他意はありません。

それは、2005年の8月頃の事・・・。
当時、私はパニック障害が深刻化してしまい、休職4ヶ月になっていた。その3ヶ月目である。
(パニック障害の難しさ・恐ろしさ・深刻さは、経験者にしか語れないことが多くありすぎるので後日にします。)
当時は、対人恐怖症も大分無くなり、日々寝る・テレビを見る・旅行に行く・医者に行く・食事をする・パチンコに行くだけの生活を過ごしていた。
休職明けの健康診断で体重を量ったら10KG太っていて、コレステロールが基準値の3倍!!!要精密検査になるくらいの堕落したというべきか?ストレスの無い生活を送っていた。
朝から暇潰しのパチンコを打っていて、ちょうどトントンの状態で昼を迎えた。
休憩を取り、近くの喫茶店で食事を取る。一人で食事を取るときは、雑誌がないと落ち着かないので、適当な週刊誌を手にしてテーブルに着いた。
「ランチ1つ。」
「はい。」
この店は、ランチが800円のドリンク・スープ付きで味も良い、家族経営のアットホームな感じも良く、頻繁に利用していた。
常連と化していたが、店の人は平日の朝からパチンコをしているパチプロとでも思われていたのかも知れないが、非常に愛想も良かった。
奥さんにオーダーを頼み、雑誌を読み始める。
「ランチ1つ。」
奥さんが旦那さんに伝えるのを耳の端で聞きながら、ふと考える。
(このまま、打ち続けていて勝てるのか?潮時か?・・・)
雑誌をパラパラと興味も無くめくりながら、重要なことに気がつく。
(おいおい、せっかくの機会なんだから、今までと違った経験をしよう。それこそ、精神にも良いんじゃないか?)
と、その時に開いていたページに結婚相談所ノッツェの広告が載っていた。釈由美子が微笑んでいる・・・。
(これか!!!これなのか!!!)
周囲の彼女作れコールにも飽きていた(そして、休職に)私は、直ぐに真剣に読み始めた・・・。
後に本気で後悔するハメになるとも知らず・・・。

続く


第26回:天敵というのは存在する

「大先生!!!調子はどうですか?」
「今、悪くなった。って言うよりも、毎日更新はツライ!!!週に1回でいいんじゃない?」
「大先生!!!小結の独り言は大評判ですよ。無理ですよ。読者が悲しみます・・・。」
「そう・・・。」
おえらいさんとの会話は、いつも相手のペースに乗せられる。電話越しだが、どうせ別の仕事をしながら片手間に私と話しているだろうに・・・。
しかし、話半分でも私が書いた物を読んでいただけるというのは、正直ありがたく、感謝の気持ちで一杯になった。
「ちなみに、大先生は次回作の構想はあるんですか?」
「うーん、結婚相談所の話か、入院した時の話。または、パニック障害の話か過去の恋愛の話あたりかな・・・。」
「大先生は旅行にも行かれるし、パチンコ・パチスロもやられるじゃないですか。」
「だから・・・。」
「ウチのサイトのテーマに沿っているので、そこら辺を書いていただけると助かるんですが・・・。」
「旅行はその内書く。パチンコ・パチスロは趣味で気楽にやりたい。書く気になれないね。おえらいさんの思い通りに動くのもシャクだし。」
「そんなぁ。先生!!!読者は喜びますよ。関心がある人が集まってますから。」
ふと、何か引っ掛かるものがあった。
「ねぇ、おえらいさん。小結の独り言のアクセスは1日に何回位なの?」
「・・・。」
「おい!!!聞こえてるだろう!!!やっぱり、あんまり読まれてないんだな。週一更新でいいだろ!!!」
「すいません。他の電話が着ちゃって。じゃ、次回作楽しみにしてます。毎日更新で。」
通話が切れた音を耳にしながら、後悔なのか・・・なんとも言えない感情に満たされた。
(なんで、あいつのペースに俺は合わせるんだろう?)

前略、母上様。あなたの息子は、本業では無いのに、ボランティアでしているはずなのに、毎日追い詰められています。でも、世間では私は冷酷でおえらいさんは人情家で向こうの方が評判がいいです。何か前世であったのでしょうか?


第25回:小結キャバクラに行く13

・・・その後、ドンベスとは会う機会も、お互いに会う気も無く、1年程度が経過した。
共通の知り合い(昔のバイト仲間)の家で、鍋パーティー会を行うことになり、8人程度が集まった。そこで久しぶりに顔を会わせた。
特に私は80万の子の事も、それどころかドンベスに話しかける事もしなかった。(話があれば相手から話しかけてくるはずだ)
いつの間にか、私以外の人間にはアルコールが回り、一人の知り合いがドンベスに無造作に話しかけた。
「ドンベス、例のキャバクラ嬢とはどうなったの?」
他意の無い表情と語調で問いかけた。
ドンベスは私の方は全く見ずに、しかし確実に私を意識しながら、数秒の間をおいてバツが悪そうに答えた。
「1回、六本木でデートしたけど、進展なしで諦めた・・・。」
「デートって何したの?ちゃんとカッコいいとこ見せたの?」
別の知り合いが半笑いしながら、追い討ちを掛ける。
「いや、ぷらぷらとウインドウショッピングとかして話して・・・。」
「そりゃ、ダメじゃん!!!」
「なんだ?そのデートは!!!」
周りの知り合いからなじられながら、憮然とした表情でドンベスは鍋を突いていた。
私は沈黙を守り、また何を言う気にもなれなかった・・・。
これで、初めて行ったキャバクラは終了を迎えた。

エピローグ???
現在にいたり、会社の上司から彼女のいない事と結婚をしない事を詰られている。
面倒なので、
「仕事以外で女性と何を話していいか分からない。それに、特に話したいと言う興味も湧く相手がいない。」
そう、素っ気無くだが、真面目に答えた。
すると上司は、
「キャバクラに行け!!!そして、訓練して来い!!!」
「はぁ」(なんじゃそりゃ!?)
「でも、小結・・・。はまるなよ。相手はプロだから金相手に愛想を振りまいているからな!!!」
「はぁ」(もっと、なんじゃそりゃ!?)
「そして、訓練して普通の女の子と色々話して慣れてから、本命の子にアタックするんだ。いきなり本命の子に話しかけても失敗するから、まずは訓練、訓練。」
「・・・。」(参考にならん!!!)
そんな日々を送っている・・・。

終わり


第24回:小結キャバクラに行く12

私は、更に調子に乗って、論理の展開を続けた。
「だから、キャバクラに行ってあの子と話をする時も、彼女を癒してあげる。」
ドンベスは沈黙を守り続けている。心なしか、タバコを口にする回数が増え始めていた。そして、その理由を彼が私の言っている事を理解し始めていると考えた。
「そして、多分ミヤマから聞いた話だと、ああいう子はキャバクラ嬢として接したり、プライベートを詮索したりするのを嫌がるよ・・・。」
やはり、ドンベスは沈黙を守り続けている。
「どう、やれる?そして、そこまでして彼女と付き合える可能性はどれ位かな?」
まだ、沈黙を守るドンベス。(あと一息だな・・・。)
「ねぇ、ドンベス・・・。」
「もういいよ。」
荒々しくタバコを消しながら、私の話を中断させた。
「えっ?」
私は、彼の心理状態が全く把握できなくなった。
「なんか、小結にこの件で言われると不愉快になる!!!」
ドンベスは視線を私に合わせずに、そう宣言した。
ここに至り、私は自分の過ちと傲慢さに気がついた。
(そうか・・・。ドンベスは、ただ俺に共感して欲しかったんだ・・・。80万の子が理不尽であると・・・)
お互いに沈黙が続く。私は事態を整理する為に、若干の間を得る為にタバコに火を着けた。
(そして、恋をしている人間特有の冷静な忠告をしても反発するだけ。馬鹿にされているとでも思ったのか?事実も真実も可能性も必要無い。欲しかったのは、能天気な同調と単なる励ましか・・・)
完全に私の作戦は失敗に終わった。しかも、こうなる可能性を始めは予想していたにも関わらずだ。
両者暫く沈黙のまま、タバコの飲み物を消費し続ける・・・。
どちらとも無く、関係の無い世間話を少しして、店を出て。そして、ドンベスを自宅に送った。
(失敗だった。次回の教訓にしよう。やはり、恋をしている人間は難しい・・・。)

続く


第23回:小結キャバクラに行く11

「小結の事を気にしていたよ・・・。色々聞かれた。どんな人かとか、何やってるとか。」
自分よりも私に興味を持たれたと思い、やや不満げ表情でドンベスは言った。
(それはね、ドンベス。警戒しているからだよ。カモのネギか。それともカモを逃がしに来たかね・・・)
「ひとつ真面目に聞きたいんだけど、本気であの子と付き合いたいの?」
「本気だよ。じゃなきゃ、あそこまでお金を遣わないよ。」
当然の事を聞くな!!!という感じで、ドンベスはタバコの煙を吐きながら答えた。
ドンベスは感情が昂ぶりだしたようで、彼女への不満を口にした。
「だいたいさぁ。80万も遣っていたら、一回位デートしてくれても良くない?あの店のほかの子に聞いたら、80万遣ってくれたら、店外デートするって言っていたよ!!!」
苛立ちなのであろう、声が段々と大きくなってきた。
(そのほかの子は、他人事だからドンベスの希望に調子を合わせただけだと思うよ・・・)
私は、親友のミヤマ(キャバクラ勤務経験者)から、彼の想いがどれだけ無駄で、相手にとって迷惑なのかを聞いていたので、話の展開を変更する事にした。
「ドンベスは、普通の女の子を好きになったら、相手に好きになってもらう為に、酔って抱きついたりする?」
表情だけは、協力的な笑顔で私は聞いてみた。
「・・・。しない。」
私が何を言いたいのか、分からないと言った表情でドンベスは答えた。考えさせる時間をとる為、わざとゆっくりタバコに火を着けた。
一息ついて、本格的な論理展開を始める。
「じゃ、好きな子に好意をもってもらう為に、愚痴とか憂さ晴らしの相手になってもらう?」
「・・・。しない。」
段々と、今度は声が小さくなってきた。私の言いたい事が理解出来たようだ。
「ドンベスの好きになる子は、金で好意をもってくれるような子がタイプ?」
「・・・。違う。」
「結局、ドンベスはキャバクラ嬢としてみているんじゃないかな?だったら、相手も客としてしか見ないんじゃない?」
「・・・。」
「好きになってもらいたいんなら、相手の愚痴とか相談に乗ってあげたり、抱きついたりはしない方がいいんじゃないかな?どう?」
「・・・。」
ドンベスは沈黙を続け、気まずそうな顔でアイスコーヒーを口に含んだ。
これは、理解をし始めていると私は受け取った。そこで、後はどの様にすれば好意を得られるか。そして、得ることが不可能な事を理解させれば終了と感じていた。
私のもしかしたら、傲慢さだったのかも知れない。実際は彼が全く違う事を考えていた事を後で思い知らされた。

続く


第22回:小結キャバクラに行く10

首都高速を下り、午前4時頃に地元に到着。やはり、深夜(早朝)の為か道は空いていた。
亀有駅そば、環七沿いのデニーズに到着。
店内はやはり閑散としており、我々以外の客は2〜3組み程度しかいなかった。
店員も疲れがピークに差し掛かっており、普段とは比較にならないくらいの元気の無い声で、接客してきた。(悪いね。こんな時間に・・・。)
深夜のアルバイトとしては、昔学生時代に唯一セブンイレブンで1ヶ月やったが、この時間が一番辛い。
眠気と疲労がピークに達するのだ。これが、後1時間経つと残りの勤務時間終了が見えてきて、そしてランナーズハイのようにテンションも上がるのだが・・・。
取り合えず、私はコーラをドンベスはアイスコーヒーを注文した。
車の運転中は安全の為にタバコを吸わないので、1時間ぶりに一服・・・。
ドンベスもタバコに火を着けたが、どちらかというと、私が何を感じて、何を話そうとしているのかが気になっているようで、視線が定まらない。
(恋をしている人間に、冷静な忠告をしても無駄なのは言うまでも無く、逆に疎まれる事ぐらいは知っているが・・・。このまま、破産するまで放って置くのもどうなのか?)
こちらの考えを知ってか知らずか、ドンベスは沈黙を守り続ける。
(さて、ここは恋?が成就するようにアドバイスをして応援する振りが上策。そして、結果無理な事を理解させれば良いとするか・・・)
正直に言うと、キャバクラの女の子も、キャバクラにハマル人も、世間で良く言われている情報と何の違いが無く、結果として興味を持ち続けられなくなっていた。
つまり、女の子は擬似恋愛の状況をリアルに演出し、そして本気で惚れさせたとしても、上手くかわす。本来であれば、本気で惚れさせる手前で、お互い擬似である事を前提に遊ぶ場所だと思うが・・・。
男も擬似を楽しめば良いのだが、自分だけは特別で、彼女を今の環境から抜け出させたい(傲慢と勘違い以外の何者でもないが)、そして真の恋愛をしたいと考えてしまって、収入と支出のバランスを崩し、使ったお金の分だけ、彼女に対価(ここでいうと愛か?)を求める・・・。
つまらなくもあり、疲労もあった。しかし、貴重な実体験をさせてくれたお礼程度はしないとという義務感はある。
ドンベスが口を開いた。
「どうだった?初めてのキャバクラは?」
「酒が飲めない俺には楽しめないね。それと商売と分かっていて褒められても、慰められても俺は癒されないな・・・。多分、俺は人間関係にシビアだから・・・。」
「そうか・・・。」
お互いにほぼ同じタイミングでタバコを吸い終わる。
「彼女はどうだった?かわいいし、きれいだったでしょう。」
「ドンベスの好みなんだね。俺は違うから分からない。」(我ながら愛想が無い)
ドンベスはまた沈黙を始め、アイスコーヒーを飲み、タバコにまた火を着けた。
「彼女とはどんな話をしていたの?」
(さて、会話の主導権を取りますか・・・・。)

続く


第21回:小結キャバクラに行く9

その後、数回の女の子のチェンジとショータイムを経て、午前3時になり会計。
請求書を見てびっくり!!! 確か、午前1時近くから入ったのに、一人約3万円・・・。
(パチスロで負けても、ここまで金をドブに捨てた感は感じられないな・・・。)
「じゃ、小結3万。」
ドンベスは当然のような顔で支払いをしている・・・。
(こりゃ、80万行くわ。でも、パチンコなら金が増える事が目的で、ここは何が最終の目的なのかな?)
去り際に、80万の子が挨拶をしてきた。
「また、良かったら一緒にいらしてください。もっと、話したかったです。」
相変わらず、完璧な笑顔を話しかけて来る・・・。(ハマルのかな。こういう所に、人ってヤツは・・・。金目的なのにね)
「そうですね。私も話したかったです。」
本音と建前をこちらも完璧に使い分け、店を後にした。
車に向かう途中で、風俗の客引きに会う。私はドキドキしたが、ドンベスは堂にいった感じで、
「お腹いっぱい。」(天才・・・。)
ドンベスの頼りになる点を発見して、ドンベスの期待が無駄なのも分かって、今日は終了。(さて、ドンベスに何をどう言うか・・・。)
帰りの車の中で、先程感じたキャバクラの目的をドンベスに聞いてみた。
ドンベスは酔いが回っていたが、割りに冷静な回答が返って来た。
「ストレス発散が基本かな?だって、面白いじゃん!!!グチとか聞いてくれるし、こっちの話に合わせてくれて、仕事の疲れを忘れる。」
「ふーん。」
「後は、好きだから付き合いたい。そして、寝たいかな・・・。」
「寝たいのが、最終目的?」
「うーん、付き合いたい。そして寝たいかな。」
「寝たいだけなら、風俗行けば済むもんね。」
私の直接的な回答をドンベスは彼なりの主張で反論した。
「風俗とは違うんだ。なんか風俗ってやなんだよね。金だけって感じジャン。」
(キャバクラもだよ。ただ、それをストレートに表現せずに、期待だけ持たせて引っ張っているだけだよ)
「それに、風俗の子は汚いよ。」
この汚いという発言は、精神なのか体なのかどちらを指しているのか判別が不可能だった。
私は、個人的な見解として、キャバクラの期待で金を貢がせるより、風俗の金に見合った???行動の方が精神的に潔いと思うし、体的には世の中で未経験で結婚をする男女や、交際相手に金品を貢がせていない人以外は風俗の子を非難できないという考えなので、黙っていた。
(こんな議論をしても、しょうがない・・・。理解しあえないだろう・・・。さて、この後どうするか?)
「どうするこの後?」
私の質問に、ドンベスは戸惑っているようだ。
「何で・・・。」
「俺の見解を聞かなくて良い?」
「・・・。ファミレスでお茶でもするか。」
「OK。」
(さて、本日最大の見せ場か???)

続く


第20回:小結キャバクラに行く8

(ショータイム???でも、誰も踊ってないし、ステージも無いじゃないか???)
かなりの挙動不審ぶりを発揮しながら、周りを見渡すと、普通に話している客と、女の子が客の膝の上に乗っている席もある。
(はぁ???)
余りにもの挙動不審ぶりからか、えりという女の子が説明をしてくれた。
「ショータイムは2千円を払うと、女の子のおっぱいを直に揉めるの・・・。やる」
「結構です。」
0.2秒での即答であった。何が悲しくて知り合いの目の前で女の子の胸を揉むという恥ずかしい姿を見せなければ・・・。
おいおい、ドンベスは胸は揉んでいないが、酔いが回り始めたらしく、80万の子に抱きついて、たしなめられている・・・。
(はぁ・・・。そうだよな。酔いが回っていい気持ちで、好きな子がいりゃ、抱きつきたくもなる・・・かい!!!スケベな中年オヤジか!!!)
しかし、冷静に考えると、多分この場では私のような人物こそが場違いなのであろう。
えりという子も困っているようである。
キャバクラとは、本来、仕事や様々なストレスを酒を飲んで、馬鹿騒ぎをして女の子に心のこもっていないほめ言葉を聞いて、素直に喜んで楽しめる人が来る場所だ・・・。
(う〜ん・・・。困った・・・。当初の目的の80万の子を観察したくても、横の子がいるからそっちの相手もしなければいけないし、そもそも、キャバクラで楽しめる人物ではないからな、女の子も困るだろう)
店員がテーブルの状況を常に確認しているらしく、盛り上がっていない私の所に来た。
「えりさん、指名が入りましたのでコチラへ。お客様、次の子を連れてきますので、少々お待ちください。」(上手い、言い回しだ。これなら、えりという子のプライドも、私のプライドも何も傷つけない。勉強になる)
一人になったので、80万の子に話しかける。
「ドンベスに聞いてたけど、かわいいですね。」(心にも無いが、社交辞令はいつでも必要だ)
「そんな事ないですよ。」(謙遜もして、イヤミに思わせないのも、まぁ基本か)
「お仕事はここだけですか?」
「いいえ、」
「料亭で接客してるんだって、俺らの行けない様な高級で会員制の!!!」
ドンベスが割り込む。(頼むよ、俺は多少は君のために、彼女を観察に来たんだから・・・)
「そうなんだ。」
「はい。だからドンベスさんにもお店を聞かれても答えてないんです・・・。」(これまた、完璧な回答やね。プライベートなんて客に教えたくないだろうけど、間接的に上手くかわしてるなぁ!!!勉強になる)
「初めまして・・・。」
次の女の子登場で、80万の子とはまた暫しお別れ・・・。(こりゃ、深い所までの観察は無理か・・・)
また、そこそこかわいい子が来たが、興味は一向にわかない。
「ちえです。よろしくお願いします。」
「よろしく・・・。」
(この繰り返しを続けるのは、キツイな・・・)

続く


第19回:小結キャバクラに行く7

「飲み物は水割りで?」
「いや、コーラを・・・。」
「私もウーロン茶、飲んでいい?」
「どうぞ。」
えりという女の子は店員に注文をするのを見ながら、少し観察をすると、容姿は普通よりやや上と言った感じであり、特に悪い印象は無い。そして、興味も無い。
前方のドンベス達の状況を見ると、楽しそうに何かを話している。
大して離れた距離ではないが、店内の音楽がうるさ過ぎるので、声が聞こえない!!!(これは、店側の客に対するプライバシー?なのか、周りを気にしないで済むようにサービスなのだろう)
お酒が入っていないドンベスは、彼の持ち味なのであろう、相手の言う事にすねている表情と口調で相手を困らせようとしている。
80万の女の子は、それを百も承知でドンベスの望むような、ちょっと慌てながら否定している。そして、笑顔を忘れない。
(パーフェクト!!!ドンベスを完全にコントロールしている)
えりという子が話しかけてきたが、適当に答えながら、興味は80万の子に集中・・・。
80万の子が私の視線に気がついたのか、ドンベスに私を指しながら何かを聞いている。(もう少し、自然に観察しないと、本性まで読めない!!!気をつけないと・・・)
ドンベスがふてくされながら何かを言った。すると80万の子が私に聞いてきた。
「どんなお仕事をされているんですか?」
「会社員です」(愛想も無いけど、あんまりこちらの情報を回したくないんだよね・・・)
「そうですか。」
また、80万の子はドンベスと話し始める。どうやらドンベスは80万の子が私の事を気にしているのを面白くないと感じているようだ。
(違うよドンベス・・・。その子は俺を警戒しているんだよ。カモがネギを背負って来たのか?カモを逃げさせる為に来たのか?見極める為にね)
えりという子は、私が興味を自分に対して持っていないのを気がついたのであろう、
「好みの子がいたら、店内指名も出来るよ。」
と提案してきた。まぁ、自分に興味ない客と話しても金にならないし、本人も楽しくないのであろう。しかし、私はキャバクラに興味が無いので、
「特に・・・。」
という、また愛想の無い返事を返した。
音楽と照明が突然変わり、うるさく・暗くなった。店員が話し始める。
「さあー、お待たせしました!!!今から5分間のショータイムです。みなさんハリキッテどうぞ!!!」
(ショータイム???)

続く


第18回:小結キャバクラに行く6

「ドンベスさん、今日は違う方とご一緒なんですね。」

(これかい!!!)

笑顔でこちらをみる80万の女の子。完璧な自然な笑顔だが、先入観があるせいか人間的な、いやプロとして手強さを感じた。
容姿は好みの違いもあるが、多分良く言っても中の上がいい所だろう。確かにドンベスの言う通り、普通の子である。正に場違い。
髪の色も黒く、化粧も派手でなく、態度もいたって普通の常識人(一般企業のOLっといった感じ)で、ある意味、野生の生存競争にいる、か弱い野うさぎの雰囲気すらある。
しかし、ドンベスの事前情報では、この店の人気NO1らしく競争率が高いらしい。
キャバクラを良く知らない人に競争率というのを説明をすると、女の子を指名すると別の人が指名しない限り、そのテーブルを離れない。
しかし、自分が指名しても、他の人が指名すると10分間はテーブルにいるが、その後、次に指名した人のテーブルに移動する。
80万の女の子は、指名合戦になるそうである。10分話すために2千円/回・・・。
いい商売であるが、これは人気のある女の子に限ってで、人気を取る(客に気に入られる)為に彼女達は日夜弛まぬ努力をしているのである。尊敬にすら値するであろう。
人気の無い子は、努力もしてないし収入も必然的に少なくなる。
何人もの女性がいる中で、人気NO1である。
であれば、前述の普通さや、やもすれば無防備とも感じられる彼女の雰囲気や立ち振る舞いは、全て作戦であり、素人っぽく簡単に落ちそうで、実は完璧なプロ意識を持っているのでは・・・。
目まぐるしく思考回路をフルに回転させ、表情は屈託の無い笑顔で挨拶をする。
「初めまして、小結です。ドンベスがすごく気に入っている女の子がいると聞いて興味が湧いたので会いに来ました。」
興味が湧いたのでからの発言の際に、ややわざと警戒心というか相手の心理を読む時の眼差しを向けた。(これで、プロならばカモを救いにきた邪魔なヤツだと判断して、俺の情報をドンベスから聞き出そうとするだろう・・・)
ほんの一瞬だが、困惑の表情を浮かべたが、すぐに自然な笑顔で、
「よろしくお願いします。二人はどんな知り合いですか?」
「高校時代からの知り合いです。」
「そうなんですか、いいですね長い付き合いの友達って・・・」
「そうなんだよ。かわいいでしょ、小結」
やや強引にドンベスが会話に割り込み、80万の女の子とマイペースで話し出した。
(もう少し、話したいが難しいか。この後、4人で話せればいいけど・・・。ドンベス。でもほぼ確信したよ。この女の子は手強く、君の手に負える事は無いと断言できる)
もしも、この80万の女の子と別の場所で別の機会に、別の状況(客とキャバクラ嬢としてで無く)で会えたら、今までの人生の中で数少ない非常に尊敬が出来、かつ人間的にも深い人物として親友になっていたであろう。
出会い方が残念だ。そんな事を考えていると、私を接客してくれる女の子が来た。
「初めまして。えりです。よろしくお願いします。」
「どうも・・・。」
(ピンチ!!!興味の無い相手と話さないといけないのか・・・。気が重いな。なんとか4人で話せるようにしないと・・・)

続く


第17回:小結キャバクラに行く5

金曜の23:30。ドンベスの家に到着。ドンベスを乗せて、首都高速を向かう。
「場所は?ナビに設定するから。」
「蒲田駅を目指して、駅前だから。」
ナビを設定し、高速を走る。
首都高速は苦手だ。元来スピードを出すのが好きで、常磐道や東北道だと180キロくらい出したりしているが、首都高速は狭いしカーブが多く安全運転に結果としてなってしまう。コワイというのが本音だ。
好きな洋楽を流しながら、運転に集中していたが、ドンベスの様子がおかしい。
「そのコ、今日まさかいないという事は無いよね・・・。」(本気で無駄な時間と金を使うことになる・・・)
「いる。メールで確認した。」
運転に気をつけながら、横目でドンベスの表情を見ると、私が付いて行くことへの違和感が満載といった感じであり、また、いつもと勝手が違う(つまり、学生時代も知っている相手がいる)ので、楽しめるか?弾けられるか不安と言った雰囲気であった。
こちらとしては、ここまできてしまったらドンベスの心情など関係が無い。(興味はドンベスがどんな行動を取り、どんな感情をいだいているのか?相手の女の子はどんなコなのか?だけだ。結果として、忠告して上げるも良し、黙っていても良し。キャバクラにハマル人間とハメル人間の観察でもしよう)
約1時間30分の道のりで、お店近くの駐車場に車を止める。
ドンベスが颯爽と歩き出し、やや遅れて私が従う。
道行く途中で呼び込みの人に何度か引っかかるが、ドンベスは軽くあしらっている。その姿に普段は全く感じないが(失礼か)、頼もしさを感じてしまった。
お店の前に行くと、呼び込みの男性店員と顔馴染みらしく、楽しそうに挨拶をしている。
「小結はフリーでいい?」
「フリーって何?」
「女の子を指名しない事。」
「俺は女の子いらない。ドンベスの指名する子と3人で話すのがいい。」
「無理!!!」
容赦の無い、ドンベスの一言でオーダー決定。
「俺はいつもの子。彼はフリー。」
「分かりました。」
男性店員に誘導されて、店内に入る。店は地下一階だった。階段の途中でドンベスに、
「すごいね。顔馴染みだし、よく普通に立ち振る舞えるね。」
私は、珍しく緊張をし始め、挙動不審になりかけていた。
「普通だよ。みんな建前で愛想いいだけだしね。」
無意味な所で、本質を理解しているドンベスであった。
店に着くと、予想していたよりも照明は紫ががっているが明るく、音楽が必要以上に大きく流れていた。
席に案内され座る。いい椅子なのだろうが、私には柔らか過ぎて座り心地は悪かった。
「久しぶり・・・。」
80万の女の子登場!!!

続く


第16回:小結キャバクラに行く4

「キャバクラって行った事ないから行ってみたい。」
私が唐突に言うと、ドンベスは驚きの表情で私を見つめた。
それは、私がキャバクラに興味を持つはずが無いことを知っているし、何の理由も無しに無駄なお金と時間(時間は特にシビヤなので)を使う事も無いのを理解しているからだ。
しばらく無言でドンベスは、タバコの吸いながら私の真意を計っているようだ。
「なんで・・・?」
理解出来なかったのであろう、直球で質問を投げかけてきた。
この質問は予想していたので、本音とは違う準備していた回答をする。
「行った事がないから行ってみたい。それと、ドンベスの気に入ったコがどんなコか見てみたいという興味だね・・・。」
この回答、特に気に入ったコがどんなコかのフレーズに満足したのか、見るからに警戒心を解き、むしろ嬉しそうにドンベスは答えた。
「いいよ。すっごい可愛いしキレイだよ。小結も気に入っちゃうよ!!!」
「惚れたりしてね・・・。」
「駄目だよ。俺が先に惚れたんだから。」
「じゃ、具体的に何時にするかとか決めましょうか?」
その後、ドンベスと今週末の金曜日23:30に待ち合わせ、私の車でお店に向かう事が決定。

キャバクラへGO!!!


第15回:小結キャバクラに行く3

「会社の上司に誘われて、飲み会があったんだ。それで2次会でそこのキャバクラに行ってね。」
ドンベスの視線は、私を直視はしていないが、先程と比べると幾分落ち着いているのか、意を決して全てを話そうとする意気は感じた。
「俺の目の前に座った子が、キャバクラに似合わない、見た目本当に普通の子なんだ。」
私は沈黙を守りながら、話を先に促した。
「で、気に入っちゃって、その後、同じ店に行って、その子を指名して話したら、やっぱり普通の子でさ・・・。」
また、新しいタバコに火を付けながら聞き入る。(普通の子の定義が分からないが、キャバクラで働いてるから特別という訳では無いだろう・・・)
ちなみに、私の20年来の女友達ミヤマは、以前やはりキャバクラに勤めていたが、私は社会経験を積んでいると言うことを尊敬はしても軽蔑もしていないし、普通であるという風にあえて力説する必要性も感じていない。ミヤマは私の親友で、それだけで充分だ。
但し、ミヤマから注意はされた事がある。
「水商売の女の子は、仕事で接しているのだから、本気で好きになって付き合える可能性は0ではないけど、相手はプロだからね。本気になると金巻き上げられて、ウザイ客と思われるだけだよ。」
私には必要無い助言だが、ドンベスには必要なようだ。伝えるのであればタイミングが問題だが・・・。
「本気で好きになったんだ。本気なんだよ。」
ドンベスは付けたタバコを吸いもせず、結果ただ灰になったタバコを消しながら力説を続ける。
「小結は馬鹿だと思うかもしれないけど、他の人間はただの客で、俺だけは彼女にとって特別な存在なんだって思っちゃうんだよ。男は馬鹿だから。分からないかな!!!」
「馬鹿だとは思っていないし、ただ、俺には理解が出来ない世界だと言うことは分かった。」(まぁ、お好きにと言った感じかな)
ドリンクを飲み干したので、また店員さんにお代わりを頼み、また頭の中を整理した。
ドンベスの心理状況はある程度把握した。後は、どんな行動で80万を使う結果となったかだ。
「で、その後はどうしたの?」
私は、ドンベスを負の感情に刺激しないように、穏やかな表情と口調で話を促した。
「本気なのを分かってもらう為に通った・・・。毎日に近いくらい。平日でも閉店まで居て・・・。」
「ちなみに、閉店は何時?」
「午前3時・・・。」
また、消え入りそうな声で答えた。恥ずかしい気持ちが芽生えたのであろう。
「帰りはどうしたの?」
当然の私の疑問である。
「ビジネスホテルに泊まって、ビジネスホテルから翌日出勤した。」
「頑張ったんだね。」(その行動力や財力はねぇ、もっと有効活用すべきだよ!!!)
やさしく言うと、ドンベスは大きく頷き、
「そうなんだよ。でも、店外デートに誘っても1回も応じてくれないんだ!!!俺の想いが伝わってないんだよ!!!付き合う時間の分、時給を払うって言っても!!!」
感情の叫びをそのまま言葉として発する人を久しぶりに見た気がした・・・。
しかも、悲劇的な事としては、失礼だが彼の感情は無意味だとは思うが・・・。相手は商売である。私でも分かる。
(さてと、目を覚ますように説得する前に相手にあってみるか)

続く


第14回:小結キャバクラに行く2

料理は粗方平らげてしまったので、至福の時である食後の一服を味わいながら、アイスレモンティーを飲む。
後日ここで話をすると思うが、以前十二指腸潰瘍を患い、それ以来コーヒーが飲めないので、紅茶党に変節したのである。
(この人は、何を言っているのだろう?)
お水・風俗系にはトンと疎く、ドンベスから興味深い話を聞く一方だった私だが、久しくなかったほど、目覚しく脳が回転を始めた。
「その女の子はキャバクラで働いているの?」
私としては、念を押した確認をした。(間違いであって欲しい)
「そう・・・。」
何かが吹っ切れたのか、ドンベスは先程までとは違い、はっきりと自信?に満ちた口調で話した。
ここで一旦頭を整理する為、アイスレモンティーのおかわりを店員さんに頼み、ドンベスはアイスコーヒーを頼んだ。
ちなみに、アイスティーの味としてはデニーズ・ジョナサンが甲乙付けがたく、後のファミレスは好きではないのでコーラを飲んでいる。
デニーズは店員さんが持ってきてくれてお代わり自由。ジョナサンは自分で取りに行くドリンクバー。そう、ここはデニーズである。
(うーん・・・。俺の拙い知識であっても、相手の女性はプロで惚れさせて金を使わせるはずだ。確実にハマッテしまったという訳か・・・。相手の策略に・・・。)
ドリンクが来て、一口飲んだ後、また、タバコに火をつける。お互い沈黙のままであり、お互い頭の中で何かを考えている。ドンベスは多分可能性の低い純愛であるという説得をいかにして、私にするかを(したところで、何の意味も無い事だが・・・)。
(お水に見事にハマッタ、生きた天然記念物であると言うか、天然色の生きた標本と言うべきか・・・。どちらにしても、人生の一定期間とお金。または人生の全てが狂うかもしれない分岐点か・・・。)
周りの客から談笑の声が聞こえてくるが、その和やかな雰囲気に我々のテーブルはかけ離れた状態に陥っていた。両者ともに沈黙をまだ守る。
(取り合えず、引き止めようとしても逆に行動するだろうし、俺に反感を持つだろう、確実にね。だったら、本人の考えや感情と行動を聞かせてもらい、また見させてもらい、相手の女性もどんな人か見て観察と分析をするだけが、お互い傷つかずに済む方法か・・・)
「で、どういう過程で知り合って、どうして好きになったの?」
私から沈黙を先に破り、会話の主導権を握ることにした。
ドンベスは私が聞き役に徹するようなので、心置きなく彼自身の考えと悩みを話せる・・・っといった表情を見せながら口を開いた。
「先月の事なんだけど・・・、」

(はぁ?引っかかるのハヤ!!!)

続く


第13回:小結キャバクラに行く1

それは、今から3〜4年前の冬の事だった。
個人的には、タバコは吸うが酒は飲まないタイプの人間である。特に飲めないのでは無く飲まないという状態が平気で5年位続くのである。
一番酒を飲んだ時期は、高校時代〜大学時代までで社会人になってからはほとんど飲んだ記憶が無い。
会社の飲み会でももっぱら食べる専門であり、仕事上で話をする事が多いので、飲み会では別人のように何も話さない人間として、協調性が足りないと上司に説教をされるのが常だ。
また、若い女の子がウチの課には多く、仕事の関係上で話をする事が多いので、プライベートで女の子と話したい欲求も無い。
では、なぜキャバクラに行ったのか?人生で多分2度だけになるであろうキャバクラに行った理由と結果を説明する事にしよう。
「キャバクラでさ・・・。冬のボーナス全部使っちゃった。」
知り合いのドンベスから、行きつけのファミレスで夕食を供にしている最中に、突然言われ目が点になった。
「今、12月の下旬に入ったばっかりだよ!!!12月の頭のボーナス?」
全く理解出来ないといった表情で、やや詰問口調で聞いた。
「うん・・・。」
ドンベスは気まずそうな顔をしながら、私の視線を外す為、俯きながら小声で答えた。
「幾ら使ったの!?」
ドンベスと私は10年来の知り合いだが、特に仲が良い訳では無い。たまに食事をファミレスでする程度である。そう言った意味では、まだおえらいさんの方が友人であると呼べる。
その為、ドンベスが人生急降下して行こうと、上昇気流に乗っていこうと個人的には無関心である。
「80万円位・・・。」
消え入りそうなドンベスの声。自分の行動を恥じているようではあるが、それにしても80万円・・・。計画性の無い子供だって、もうちょっと、自分の小遣いは考えて使うだろうに・・・。
「何で!?」
当然ではあるが、前述の通り、私は酒を飲まないし、飲んでもオモシロイと思えない。そして、女の子と話すのは仕事で充分だと考えているので、完全に理解不能になった。
「うーん・・・。」
ドンベスは相変わらず私の視線を避けながら、言い辛そうにして考えこんでいる。上手い説明の内容で、かつ彼のプライドを保つ方法を一生懸命考え込んでいるのが分かる。
自分から口を開くまで待つ事が得策であると考え、タバコをふかしながら待った。(どうせ、長い事待たないだろうし、興味深いなぁ。商売としてのキャバクラとそれにはまる男・・・。まじかで観察して状況を分析してみたい)
個人的な目的も出来たので、時間を惜しむ気も無くなった。長期戦で構わない。
外を眺めていると、木枯らしが舞い、コートを着た人達が行き来している。
店内の暖かさと外の寒さ・・・。
この落差の激しい光景が好きで、スキーに行っても専ら喫茶店でゲレンデを眺めながら紅茶を飲んでいる。スキーは寒いので、ほとんどしない。友人からは変わり者扱いをされるが・・・。
「・・・んだ。」
頭の中で色々な事を考えていたので、何を言っていたのか聞き取れなかった。
「何?」
真っ直ぐにドンベスを見つめながら聞き返した。
「好きな子がいるんだ。」

続く


第12回:アデランス11

「小結さん、後1回で取り合えず終了ですよねぇ。」
「はぁ。」(何を考えているの・・・)
マシンガン君の自信満々な気持ちと、漲る気合が鏡越しの顔から読み取れた。(こいつ、売り込む気だ!!!)
「小結さん、この間昇進しましたよね?」
「はぁ。」(段々、腹が立ってきたな・・・。俺の懐具合はアンタに関係無いだろう)
確かに私は、春に昇進をした。そしてその事を世間話で話した事を本気で後悔していたが、これは彼の術中に上手くはまったのであろう。
私の顔は、やや強張りだして来たが、マシンガン君はわが意を得たりの表情である。
彼にとっては多分、必勝パターンに持ち込む気がマンマンなのが子供にも分かるくらい、顔に書いてあった・・・。
「では、ヘアサポートの年間契約をしても、金銭的にも問題ない!転勤も無い!時間的な余裕もある!そして、本格的なヘアサポートで発毛プログラムを受けられる!全く問題がないですよね!!!」
「・・・。」(ムカツイタ。しかも、本気と書いてマジと読む)
愛想が良い時の私は、以外に押しに弱そうに見えるらしい。しかし、本性を知っている友人達は頑固者で、強引に言われると間違いなく反発するのを知っていた。
しかし、マシンガン君は片時も手は止めず、仕事を続けながら、肉食動物が無防備で確実に狩れる草食動物に今から近づく時のような笑顔を語り続ける。
彼の失敗は、私が押しに弱い人間と勘違いした事であり、私の失敗は、彼に隙を見せたことであろう。
お互いにとって、悲劇的なことは、彼が頑張るほどに私はアデランスを止める決意を固めてしまう結果に繋がったことだ。私は本当は続けても良かったのにである。
一連の施術が終盤に差し掛かった。
マシンガン君は、得意のトークで簡単に落ちるはずの私が中々落ちないのを決心が付かないとのだと考え、
「次回、御出での時は、必ず私を指定してください。」
「はぁ。」 これが、トドメの一撃であった。私の堪忍袋の緒が切れた。
(もう、アデランスには絶対来ない。こいつには、待ちぼうけを喰らわせてやる!!!)
帰りがけのマシンガン君の肉食動物の笑顔を、こちらも肉食動物の笑顔で返しアデランスを後にした。
これで、アデランスとの関係は終了・・・。
まぁ、いい経験が出来たので、引き分けというところか・・・。

んっ!?1回分のトリートメント費用が無駄になった・・・。
前略、母上様・・・。あなたの息子は年をとった結果、人間的に一回り小さくなりました。これは、私の資質でしょうか?幼い頃の躾の結果でしょうか?


第11回:アデランス10

「小結さん、いらっしゃられる前にまず予約をしてください。混み合う事が予想されますので、当社ではご訪問いただいた時に、次回の訪問のご予約をしていただいております。」
「はい」(嘘オッシャイ!!!)
継続して通う事が決まった後に、カウンセラーさんから注意をされたのである。
しかし、お試しコースをやった際の個室の数、および稼動状況から考えて、そんな忙しい訳は無いと考え、気が向いた時に当日予約を入れようと心に決めた。
その後、毎回当日予約をしていたが、断れる事も無く順調?に訪問とヘアサポートを行った。
発毛している実感は無いが、やらないよりやった方がまし・・・。程度の気持ちであったが・・・。
ただ、訪問していて困った事が起きた。
それは1人の担当者に対してだ・・・。
これは個人の好みの問題であるのだが、黙々と仕事をしてくれる担当の人は気が楽なのだが、世間話を異常に続ける担当者が1名いたのである。
アデランスとしても、顧客とのコミュニケーションを取る様に指示しているのかもしれないが、世間話に合わせるのも、結構気を使ってしまうのでホドホドにして欲しかった。
この世間話好きな担当者は、30代半ば過ぎのようで、ベテランスタッフ。それなりに仕事が出来ている自信を漲らせている。
そして、マシンガンのようなトークを繰り広げ、時に私の生活に関しても聞いてくるのである。
「そうですね。」(いい加減にしてくれないかなぁ〜・・・。)
空虚な相槌をうちながら、よっぽど本音を言いたかったが、我慢をしていた。以外にこういう場ではいい人に思われたいという感情がまだ上回っていたのである。
そして、事件が発生した。
半年の契約も今回を含めて、後2回の時である。
アデランスに訪問をし、いつものように広告いっぱいの個室に案内される。
担当者は毎回、暫くしてから来るのだが、今回の担当者はマシンガンの彼であった。
「小結さん、こんにちわ。」
何かいつもと違う雰囲気?を感じたがその時は良く分からなかった。また、この人のマシンガントークの予想外の理由も・・・。
「こんにちわ。」(はぁ〜・・・、マシンガン君か。長い1時間になりそうだ・・・)

続く


第10回:アデランス9

「上司と話し合いまして、小結さんのご希望通りで結構です。」
「はぁ・・・。」(んっ!?肩透かし?)
「但し、・・・」
来ました、ここからが本番ですよねぇ〜。大体こういうパターンで無理な選択を迫るんだ。
「ヘアサポートは一定期間でカウンセラーと頭皮・毛根の状態を話し合い、施術を変更していくのですが、小結さんは取りあえず今日していただいた施術を続けていただく事となります。」
「はぁ・・・。」(えーっと、それだけ!!!?私の心の中で臨戦態勢に入っていた右のコブシはどこに着陸させればいいの?)
「よろしいですか?」
「はい。えーっと、じゃあ、トリートメント代だけ半年分先に支払います。サポートの費用は毎回支払うでいいですか?」
「はぁ?」
明らかにカウンセラーさんが困惑をし始めた。この人は自分の意見が通ったのになんで、譲歩するのだろう?という真意が測れない・マニュアルに載ってないケースだったのだろう。
「いや、全部私の意見が通ると気が引けるので、半分そちらの意見を聞きます。まぁ、私の気分の問題で、わがまま言い過ぎると気が引けるので・・・。」
「こちらは、特に構いません。」
やっぱり、不思議そうな顔で見ている。
あれー・・・。なんか変だなー・・・。俺、今馬鹿な事を言ってるし、やっているのかなぁー・・・?
準備してきた論法等も発揮できず、微妙な状況に入り、返ってカウンセラーさんに申し訳ないという気持ちになっていた。これもマニュアルだったら、俺に勝ち目はないけどね。
お互いに微妙な雰囲気のまま、気の変わらぬ内に、契約と支払いを完了させる。
私は暇潰しがここまでの結果を呼んだ事に少々の驚きと、こんな突発的な行動をする自分に、昔から変わらないなと心の中で苦笑していた。
と、ここで私の人生の中で多分歴代1位になるであろう名言を聞いた。
諸手続きが完了して、カウンセラーさんも業績アップという事で安心したのだろう。表情が和らぎ、緊張感も無くなっていた。すると、
「小結さん。」
「はい?」
「小結さんは勇気のある人です。大概の人は電話はしてきても来なかったり、話だけで終わりますが、何度も来て実際に施術をして行こうとする勇気は素晴らしいと思います。」

なんじゃそりゃ!!!

私の雰囲気を察してか、言っている途中から言い終わった後も、カウンセラーさんは今までとは打って変わってシドロモドロ状態に陥っていた。
いやー、人生において、これだけ意味の無いほめ言葉はまたと聞けないであろう。そう思うと不覚にも、なぜかアデランスに来て良かったと感じてしまった。本来の目的とは全然違うところで感動してしまった。
思わず、マニュアルにないアドリブはやめといた方がいいですよ・・・。などと賢しげに言おうかとも考えた。
しかし、私にもカウンセラーさんにも、先程の言葉で、この部屋の微妙に居心地が悪くなった(例えるなら、歯の奥にモノが挟まっていて、取れそうだけど今取るとマナー違反のような)のが楽しかったので黙っていた。
「では、今後ともよろしくお願いします。」
カウンセラーさんの何事も無かったかのような締めの言葉で終了。
これにより、半年間、月に1度のアデランスもうで決定!!!

続く


第9回:アデランス8

カウンセリングルームに案内されると、予想外だったが、カウンセラーは居らず、一人で数分待たされる。
ヘアサポートを受けた感想としては、それなりに気持ちが良かったと言える。
難点は、いたって個人的な嗜好で、1時間も席に座らされるのが生理的に受け付けないのである。美容室でも途中で嫌になってしまうので、予定がこの後あるとか嘘をついて、早めに切り上げてもらっている状態であり、髪を切るに行くのも半年に1回が限界なところだ。
施術後の髪は、気持ちが悪いくらい滑らかで、自分の髪とは思えなかった。
これは、頭皮や髪にとって非常に有効な事をした実感が湧いた。
結果としては、ヘアサポートをしても良い・・・。が、問題は支払い方法であり、気が向かなくなったら、容赦なく途中で風のようにアデランスとの縁を切れるかに尽きる。
方針は決まった・・・。後は相手の出方次第とトークバトルによる。
程なく、カウンセラーが来た。
「小結さんの施術前と施術後を見比べて見ましょう。」
唐突にカウンセラーが先日の写真を見せる。
「このような状態で、毛穴に脂が溜まってました。では、今はどうでしょうか。」
結論は既に分かっていて、キレイになってるという事だろう・・・。と冷ややかな感情を押し殺してうなずく。
前回も使用したペンタイプのカメラと画面で確認する。
「キレイになってますね。ここも。そしてこここも。」
「はぁ。」(結論が先に見えているので、反応は冷淡になっていた・・・)
「ここも・・・。んっ。」
一瞬だが、毛穴に脂が残っている部分を発見!!!
反応をしようか一瞬逡巡していると、別の場所に移し変えた。
「はい、キレイですね。」
オイ、汚い場所が残っていたじゃないか!!!と言いたかったが、大人な私は黙っていることにした。(こんな点で争っても無駄・・・)
「このように、継続して施術を行い、毛穴をキレイにすると1年半から3年のサイクルで、発毛と脱毛を繰り返します。ヘアサポートは脂による本来の発毛サイクルが崩れた状態を正常に、かつ太い毛を生やすのに大いに役立ちます。」
「はぁ。」(そんな話はもういいから、本題の支払い方法に入ろうよ)
「では、小結さんが先日言われていたお支払い方法ですが・・・。」
キター。バトルモード突入。

続く


第8回:アデランス7

翌週、すでに興味が無くなっている。完璧なまでの義務感でアデランスを訪問。なぜか、約束をしてしまうと守らないとイケナイという感情が、他に遊びに行きたい欲求を上回る。損な性格なのか?
いつもの下町な駐車場に車を止め、お約束の一服。煙を吐き出しながら、今までのことを振り返る。
果たして、本当にアデランスで発毛体験をしても良いのか?アデランスの術中にはまるのではないか?
駅前のアーケードで買い物帰りのおばちゃん達が、楽しそうに談笑しながら買い物かごを持って、横を過ぎる。
虎穴に入らずんば、虎子を得ず!!!
何の意味も無い気合とともにアデランスへ到着。
カウンセラーと他愛も無い挨拶をして、いざ発毛作業開始!!!
施術する場所に案内されると以外に個室はたくさんあり、何人かの人の話し声が聞こえる・・・。予想外だがおばちゃんの声もする。(男が悩み抜いて来るとこじゃないの?)
案内された個室の中は、これでもかという位の、アデランス独自の高級発毛関連の商品広告がずらり・・・。(この商売っ気に気が滅入る)
数分間一人で待たされたが、買う気は無いがどういう風に売り込みをしているのか観察。(嫌な客だな・・・。)
苦笑いをしていると、施術者の男性が到着。
簡単な挨拶とやる内容を説明されながら、施術スタート。
まずは洗髪から始まる。使用しているシャンプーはアデランス独自のとても毛髪と毛根に良いものだそうである。
ついで、トリートメント。こちらも・・・同上。
トリートメントをお湯ですすぎ、すすいだお湯を何度も頭にかけられる。(何の意味があるのか???)
ここまでで、トリートメント終了。次は発毛プログラム。
例えるならば、血圧計を使用すると腕を圧迫する巻き物を頭に巻かれ、圧縮と弛緩の繰り返しを10分程度。頭の血行を良くするようだ。(こんなので良くなるのか?)
次に、発毛剤を塗り、頭皮のマッサージ。そして、レーザーによる頭のツボを刺激して発毛促進。
美容院にある毛を染める際の頭の上で動く釜?みたいなものも使う。(これは何の意味があるか忘れた)
イオン式の高級ドライヤーで髪を乾かし、頭皮の写真を何枚か撮られる。
しめて、1時間強で終了。(記憶をたどっているので、内容の抜けや順番違いはご勘弁を・・・)
施術者が一旦いなくなり、再度個室を見回す。今やった施術を自宅でやる機材キットまで売っている。しかも、アデランスで施術を1年位受けてから買えるようだ。(もう、アデランスさんの商売上手!!!)
施術者が戻り、個室からカウンセリングルームに案内される。
(さてと・・・、これからが今日のメインイベント!!!カウンセラーとのトークバトル開始!!!)

続く


第7回:アデランス6

それは、ほんの数秒だったのに違いないが、カウンセラーさんと私の間の緊張感?は、数分の経過を感じさせ重苦しい雰囲気が漂った。
今日2回目の意を決したカウンセラーさんの表情・・・。そして、言葉。
「トリートメントは1回8千円、発毛プログラムが1回15千円です。この2つが1回施術でワンセットです。」(名称と金額の記憶は定かではありません。現在と違う場合はゴメンナサイ!)
さらに続いて、
「半年間と1年間のコースをお選びいただき、月に1回か2回訪問もお選びいただきます。」
ここで、緊張の顔を無理にほぐして微笑む。
「回数が多いほうが、効果はモチロン高まります。」
間髪いれずに、質問をする。
「毎回、訪問して施術時に1回分の費用を払っても良いのですか?」
「いえ、当社では一括してのお支払いか、クレジットを組まさせていただいております。それ以外はございませんので、クレジットでしたら、毎月1回分の費用がクレジット会社から引き落とされますので、そちらの方がよろしいでしょうか?」
「クレジットは大嫌いです。」
また、即答してしまった。
ここが勝負所と判断したカウンセラーさんは笑顔を聞いてきた。
「今まで利用された事が無いのでしょうか?理由があってですか?」
そこで、私の必殺語録を炸裂させた・・・。
「現金で買えないものは、借金をして買うな!貯金をして買え!という親の遺言で・・・。」
「そうですか・・・。」
「まぁ、両親ともに健在ですけどね・・・。」
室温が2度程下がるのを肌ではなく、意識で感じた・・・。(このギャグは一度もウケタ事が無い・・・。しかし、今後も1度は爆笑をとるまでチャレンジだ!!!)
カウンセラーさんが困った顔をしているので、さらに私が自分の考えを伝える。
「一括して支払うのも可能ですけど、残高が減りすぎるのが嫌なんです。でも、クレジットは絶対に嫌です。ご説明を聞いて興味はありますが、条件が合わないのであれば・・・。」
(実際の本音は、私のクセとして、最悪途中で飽きたらそのまま来なければ良い訳で、毎回支払ったほうがいつでも辞められるという選択肢があるという事である。でも、もう充分暇は潰したか・・・)
しかし歴戦の強者、カウンセラーさんはこんな事では負けません。頭の中で色々な計算とマニュアルの対応方法が引き出されている様子が感じられる。
カウンセラーさんが、笑顔になった。(・・・何が出る???)
「では、取りあえず、1回4千円で(この金額も定かではない)お試しが1度だけ出来ますので、ご利用いただいては如何でしょうか?私も本社の上司にお支払いの件を掛け合って見ますので。」
うーん、さすが大企業アデランス!!!素晴らしい。この様な申し出をされたら、断る理由が無い。
「分かりました」
来週にまた訪問する事とお試しコースを受ける事、カウンセラーさんとまた話す約束をして本日終了。
(引き分けかな・・・)

続く


第6回:アデランス5

こちらの雰囲気を察したのか、カウンセラーは少しあわてて行動に移った。
「無料で現在の毛髪チェックが可能ですので、お試しになりませんか?将来的に今のままだと脱毛してしまうとお困りになりませんか?」
終了の鐘がなったので、興味は無かったが、毛髪チェックとはどのような事をするのか?また、将来このままだと禿げるのか?そして無料という言葉に引っかかり毛髪チェックをしてみる事にした。(これもマニュアル通りか?)
室内においてあった機材を持ち出す。画面とペンタイプのビデオカメラを使用する。
「それでは、こちらのカメラで小結さんの頭皮の状態をチェックします。頭をちょっとお借りします。」
頭を差し出して、リアルタイムで画像を画面から確認しながら説明される。説得力がある。(マニュアル・・・?)
「ハイここですね。毛穴に脂が溜まっています。これは、血行や発毛・養毛剤の効力を行き届かせるのを阻害します。」
「はぁ」
自分の頭皮の拡大写真をまざまざと見せ付けられると、想像をしていたより汚く感じる。
「ハイここ。1つの毛穴から通常は3本出てますよね。太い健康な髪が。後頭部は正常ですが、前頭部は1つの毛穴から2本細いのしか出てませんね。」
「はぁ」
何々・・・。結構深刻な状態なの・・・。というような不安な状態に陥る。(やっぱりマニュアルか?)
「では今ご説明した部分を写真でとらせていただきましたので、後は画面でご説明しますので、もう頭は結構です。」
やや、落ち着かない状態に入る訳で、ここからがアデランスマジック発動!!!
「こちらの画像をご確認いただいた通り、健康な毛穴の状態とは言えない部分がございます。」
「はぁ」(なんか、相手のペースに乗せられている・・・マズイ。でも幾らなの?)
「ヘアサポートを行いますと、毛穴の脂を除去し、血行・養毛剤を毛穴の奥まで浸透させることにより発毛を促す事が出来ます。」
「はぁ」(まな板のコイってこんな感じなのかな・・・。で幾らなの?)
「また、毛穴から細い髪が出ていた部分も、健康な状態となり太い毛が増え、毛髪量のアップにも繋がります。」
「はぁ」(カウンセラーさん絶好調やな。マニュアル通りに進んでて、後一歩で落ちそうって感じてるのかな?幾らなの!?)
「如何でしょうか?月に1〜2回御出でいただいて、半年から1年で頭皮の状態を改善出来ます。」
カウンセラーさんの満面の笑み(赤頭巾ちゃんがやって来た時のオオカミの笑顔といったら失礼か・・・)を見ながら、ついに最大の疑問を投げかける。
「・・・で、幾らなんですか?」
場が固まった・・・。

続く


第5回:アデランス4

呆気にとられて、どんな表情をしていたのかは覚えていない・・・。
少なくとも、気恥ずかしさはあった事は覚えている。CMでも吉岡美穂が男性に髪の悩みを聞いていたから、異性の方が言い易いとアデランスは考えているのか?
「今日はどのようなご用件で?」
笑顔とともに、話しかけられる。まぁ、悩んでもしょうがない。正直に今日が暇だったからとは言わず、それなりの事を伝える。
「高校生の頃、ハードジェルやスプレーで前髪を立てていたのですが、頭皮にもかかっていて髪が抜けてしまったのです。ヘアサポートは抜けた毛を発毛させると聞いて、相談に来ました。」
これは、本音である。特にコンプレックスを持っている訳ではないが、前髪が薄毛なのである。どうにかなるなら、なんとかしたい所である。
「そうですか・・・。」
少し考えてる表情と何か頭の中で整理しているかのような印象を感じた。
その後、住んでいる場所や勤務先の住所・仕事内容・生活習慣・利用している美容室の話(ちなみに当時は毛を染めていた)等を色々と聞かれ、特に否定もされずに、ヒヤリングは終了。
本題は???という疑問が持ち上がる。
「本社勤務ですか、私もそうなんですよ。」
笑顔で相槌をうたれる。
ふと、気がつく。相手と共通点を上げる事・相手を否定しない等々、一般的な営業のマニュアル通りの対応だ。先ほどの考えている表情は対応方法のマニュアルを思い出していたのであろう。
さすが、大企業アデランス。社員教育がしっかりしていると感心・・・。これは引っかかる(聞こえは悪いが)人も多いんだろうと感じた。(でも、コールセンターの人の声のトーンは如何なものか・・・)
若干の談笑とともに、やはり毛を染めるのは毛根に悪い事をさりげなく言われ、談笑は終了。
微妙な間が空き、ここが勝負所とばかり、カウンセラーが意を決したように宣告する。
「前髪は生えません。」
終了の鐘が鳴った。さぁ、帰ろう。

続く


第4回:アデランス3

東京の下町・・・。
代表格と言えば、まずは浅草を中心とした台東区のチャキチャキ江戸っ子であろう。
双璧をなすと言えば、柴又を中心とした葛飾区は映画寅さんで有名な人情系。
それ以外の下町というと、荒川区南千住・足立区北千住を中心とした、マイナーな下町。
都会の田舎というべきか、田舎の中の都会というべきか?微妙ではあるが独特の味わいがある。
北千住駅のそばに行けば良いので、普通は電車で向かうのであるべきだが、電車嫌いと車好きの私としては、多少の駐車代がかかっても車で向かう。
現在は、駅前に丸井が出来た為、かなり整備された近代的?というか上野駅前の雰囲気に近づいた北千住だが、当時は田舎の繁華街的な雰囲気があり好ましいと感じていた。
また当時は駅前に駐車場もほとんど無く、いつも利用している裏道(車1台がやっと通れる位の)を通り、民家の間にポツリと忘れられたように存在する100円パーキングに駐車した。
車を降り、まずは一服。さぁ、アデランス!!!という無意味な気合と緊張をほぐしながら店に向かう。
店は、駅の目の前にあるビルの3か4Fにあり、ほどなく到着。
タバコを消し、入り口の前に立つとお世辞にも綺麗とはいえないエントランスとエレベーター。
何か後ろめたい感情とともに入らなければならない雰囲気をかもし出す。(薄毛は悪い事か!!!)
若干の気合とともにビルに入り、店に到着。
エントランスの雰囲気と打って変り、白を基調した明るい受付がある。
が、人はいない・・・。(普通は受付がいるもんじゃないのかな?)
しばらく逡巡してから、やや恥ずかしさとともに小さな声で、
「すみません」
1回目での反応無し。(帰ろうか・・・。)
次は大きな声で呼びかけた。中から人がやっと出てきて用件を伝えるとカウンセリングルームに案内される。
カウンセリングルームは、髪か頭皮の何かをみる為の機械がある以外は、いたって殺風景な部屋で病院の診察室を思わせる。
部屋は禁煙の為、暇を持て余しながら5〜10分待つと、ドアが開いた。
「こんにちわ。カウンセラーです。よろしくお願いします。」
年齢は明らかに私より若いお姉さん・・・。(この人に毛の悩みを言うの?・・・)

続く


第3回:アデランス2

音を立てて崩れ落ちる吉岡美穂・・・。
いやいや、普通はテレフォンオペレーターは女性か若い男性というのは悪しき先入観なのかぁ?
内心の動揺を隠して、用件を伝える。
「ヘアサポートの話を聞きたいのですが?」
「そうですかー。どちらにお住まいですか?」
自宅の住所を教え、簡単なヘアサポートの説明を受ける。おっさんの低い声だと商売っ気を感じないのは気のせいか?
「北千住駅はわかりますかぁ?」
現実に戻される。
「はぁ。」
「それでは、西口の改札を出た左側にマクドナルドがあるので、そのビルに来てください。」
マクドナルド?
近頃、北千住に行ってないが、左側はバーガーキングでマクドナルドは無かったはずでは?記憶を探る・・・。
そんな、気配を感じてか
「元はバーガーキングでしたが、近頃マクドナルドに変わりました。」
素晴らしい!!!
何が素晴らしいかというと、アデランスの企業運営である。コールセンター担当者が店舗の目印なんて覚えているわけは無い。
であれば、店舗情報がデータベース化され、問い合わせ中に画面を検索する。店舗の目標となる目印が登録されており、またタイムリーに更新している事を意味する。やるな、アデランス!!!さすが大企業様!!!
「分かりました。」
「では、何日がご都合がよろしいですか?」
「今日で・・・。」
「今日・・・は、難しいです。」
ごめんね、おじさん。今日暇だから行こうかと思っているの。別の日はどっか行くよ。
「今日以外なら、結構です。」
「・・・。分かりました。調整してご連絡します。」
不機嫌な声(気のせいか?)が残りつつ、携帯から耳を離す。若干緊張していたのか、画面の汗を拭う。
ほどなく、コールが来た。
「今日の16:00においでください。カウンセラーがお会い出来ます。」
決定、アデランスへGO!!!

続く


第2回:アデランス1

それは、今から5〜6年前の夏の日曜日だった。覚えているのは天気が晴れていた事くらいである。
昼食を外で済ませ、帰宅。せっかくの休日なのに、友人とも約束が無く、暇である。
この時間からスロットをやって勝てると思うほど楽天家では無く、興味も無いのにテレビを付ける。
「暇だ・・・。」
いかん、いかん!!!いい若い者が、せっかくの休日を無駄に過ごしては・・・。
しかし、何も思いつかない。外出したい所だが、一人だと後はマンガ喫茶くらいなものである。微妙・・・
興味も無く眺めていたテレビに吉岡美穂の姿が・・・。
「発毛を手伝います、ヘアサポート。カツラでは無く、自分の髪を生やしたい方はお電話を。」
これだ!!!
個人的なポリシーを語っても無意味だが、カツラ(人工的なもの)で薄毛を隠すくらいなら光ってる方がまし。自分の毛が増えるのならばいいじゃない!!!
(あえて強調しますが、今現在の私も、当時の私も禿げてはいません。ただ、若干薄毛なのです。この理由は後程)
あわてて携帯を取りに行き、電話番号を押そうとする。
「あれっ!?何番だっけ?」
アートネイチャーに掛けたら、単なるアホ話になるので、ネットで確認。
若干の緊張と脳裏に吉岡美穂を想像し(電話に吉岡美穂が出る訳が無いのは知っているが、何か期待をしてしまう)、電話を掛ける。
「はい、アートネイチャーコンタクトセンターです。」
オッサンじゃん!!!

続く


第1回:人生の転機とは、大抵突然他人から告げられる

「大先生!!!お元気ですか?」
友人からの上機嫌ともとれる、耳障りな声を携帯から聞いた瞬間、嫌な予感に駆られた。あえてこの友人は今後このコーナーでは『おえらいさん』とでもしておこう。
「その大先生という枕詞から、まともな話を聞いた例がないのは気のせいかな?」
「で、大先生にウチのサイトのコーナーを受け持って貰いたいんですよ」
「人の話を聞け!!!」
「正直な話、こういったお願いは小結にしか頼めないんだよ・・・。お願い!!!」
携帯の向こう側にいる、おえらいさんの声だけに感情を込めて、手は別の仕事をしている姿を確信とともに察してしまう。そんな長い付き合いが微妙とも言えるが・・・。
沈黙を守りながら、室内禁煙と決めている為、ベランダに出てタバコを吸い始める。
「今度、食事おごるからさっ!ねっ!」
「それは、結構。それよりも、大体おえらいさんは、こういう場合に一番ヤナ話を去り際にするけど、何か言ってない事は?」
素人に毛が3本生えた程度というべきか、趣味に毛が数本抜けた程度というべきか、確かにおえらいさんの言うとおりに文章を書いている事はあるので、多少興味を引かれた。
ただ、このまま相手のペースに乗せられるのだけはシャクに触る。
しかし、おえらいさんは好感触を感じ取り一気に話し続ける。
「そんな事ありませんよ。好きな事を書いていいですから」
「宣伝に使われるのは嫌だよ」
「全然。売り上げとか読者数とか考えなくて結構です!!!」
「じゃあ、いいよ」
「それじゃ、11月1日から連載スタートで、毎日更新お願いしまーす」
「ちょっ・・・。」
携帯の通話が途切れた音を耳にしながら、時計を見つめる。10/31のPM22:04。

ふざけんな!!!

お母さん、あなたの息子はどうやら、また人生の重大な転機を深く考えずに泥沼に落ちていきそうです・・・。


このコーナーはあくまでフィクションです。実在する団体名とかでますが、あくまでフィクションですのでクレーム等は勘弁してください。
ちなみに、小結の個人情報としては、男性・30代半ばで独身・彼女無し・中堅企業のシステム運用を統括する中間管理職・ストレスの為、パニック障害になり現在闘病中。
駄文ばかりだと思いますが、箸休め程度で読んで頂ければと思います。

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